「この番組が終わる時は戦争が起こる時だ」 西田敏行さんが語っていた「ナイトスクープ」に対する思い
「風」にすらなりきる天性のセンス
竹下景子(前出)が言う。 「ここ10年の間、西田さんは度々体調を崩されて『新日曜名作座』の収録をお休みされることもありましたが、その度に見事に復帰されてきました」 収録では、得意のアドリブもよく繰り出していたという。 「以前、朝井まかてさんの『雲上雲下』で、西田さんが『風』の役を演じたことがありました。ファンタジーだから、草とか風が喋るんです。西田さんは『風』として喋るうちにいつの間にか自然と歌いながら喋るようになっていたんです。メロディーは全くのアドリブなのですが、『風』の役に見事にハマっていて。天性のセンスですよね」(同)
「車いすに乗っていても西田さんは西田さん」
竹下が最後に西田さんに会ったのは今年7月半ばの収録の時だった。 「ここ1年ほど、西田さんはNHKの局内を車いすで移動していて、“やあどうもどうも暑いですねえ”なんてあいさつをしてくれて。何てことのないあいさつなのですが、温かみがあって現場の空気が和らぐんです。車いすに乗っていても西田さんは西田さんでした」(竹下) 西田さんは82年にTBS系列で放送されたドラマ「淋しいのはお前だけじゃない」を“すごく大事にしている”と語っていたという。 「ひと際思い入れがおありだったようで、今でも時々家で見返す、と仰っていました」(同) 過去作品を見直し、“次”に役立てようとしていたのかもしれない。どこまでも貪欲に高みを追い求め、あらゆる人を笑顔にした76年の役者人生だった。 前編【若いエキストラに「どこかで誰かが絶対見てるよ」 西田敏行さんの“共演者をとりこにする”素顔を盟友らが証言】では、撮影中はシリアスな顔を見せる西田さんの、楽屋での明るく気さくな素顔を紹介している。 「週刊新潮」2024年10月31日号 掲載
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