そばを食べるのが趣味です。老後は月2回くらい出掛けたいのですが、これって高望みでしょうか?
誰しも老後にかなえたい夢を持っています。しかしながら、夢を漠然と思い描いているだけでは、その夢はかないません。 本記事では、老後の夢をかなえるために必要な経済的な分析方法について解説します。
夢に必要な経費を見積もる
夢をかなえるために、必要な経費を見積もったことはありますか? 例えば、「老後は月に2回くらいそばを食べに行きたい」という夢があったとしましょう。その夢をかなえるためには、毎月いくらの経費が必要となるのか考える必要があります。 同じ「月2回そばを食べに行く」という夢でも、「自宅近くのそば屋にそばを食べに行く」夢であれば月に数千円で済みますが、「全国各地の有名なそば屋にそばを食べに行く」夢の場合は月に数万円の経費がかかり、夢をかなえるための経費は大きく違ってきます。 どのような夢を持っても自由ですが、その夢をかなえるための経費を考え、後述する老後の家計の収支を見積もることにより、その夢の実現が経済的に可能か否か判断することができます。 経済的に実現不可能と判断される夢は高望みとなりますが、実現可能な身の丈に合った夢に置き換えることはできます。また、当初の夢をかなえたいのであれば、夢を実現するために必要な資金を得るための対策を講じましょう。
老後の家計の収支を見積もる
次に、老後の収入と支出を予測して、家計の収支を見積もります。 ●1.老後の収入を予測する 老後の収入は、公的年金に加えて、会社員であれば企業年金、自営業者などであれば国民年金基金、さらには個人年金(個人型確定拠出年金(iDeCo)や年金保険など)などが考えられます。 ここでは、主な収入となる公的年金の受給見込額の確認方法について解説します。公的年金の見込額は、以下の方法で確認することができます。 (1)「年金事務所」や「街角の年金相談センター」で相談(※1) 日本年金機構が運営している「年金事務所」や「街角の年金相談センター」を訪問して、年金見込額を確認することができます。 (2)「ねんきん定期便」で確認(※2) 「ねんきん定期便」のうち、50歳以上の方へ毎年誕生月に届くものには、現在の働き方を60歳まで続けた場合の年金見込額が記載されています。 (3)「公的年金シミュレーター」を利用して確認(※3) 厚生労働省が運営する「公的年金シミュレーター」を利用すると、今後の働き方や年金受給開始年齢に応じた年金見込み受給額を確認することができます。 なお、ねんきん定期便に掲載されているQRコードを読み取ることで「公的年金シミュレーター」を簡単に利用することができます。 (4)「ねんきんネット」を利用して確認(※4) 日本年金機構が運営する「ねんきんネット」に登録して、今後の働き方や年金受給開始年齢に応じた年金見込額を確認することができます。 ●2.老後の支出を予測する 老後の支出を予測するためには、現在の家計支出を把握する必要があります。家計の支出は、家計簿などをつけることにより、項目ごとの支出額を把握するようにしましょう。 そして、老後の家計支出は、後述する統計値を参考にするとともに、現役時代の支出額の70%程度と見積もるとよいでしょう。この際、税・社会保険料の支出を忘れないように見積もる必要があります。その額は、収入にもよりますが、収入の10~15%程度になります。 ●3.老後の家計の収支を見積もる 老後の家計の収支は、前述した老後の収入から支出を差し引いた額になります。総務省の統計資料「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 家計の概要」(※5)によると、「夫婦高齢者無職世帯」(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)の毎月の家計の収支は図表1のとおりとなっています。