「事故が起きたのは高速で走行する区間…本当に肝が冷えました」 走行中の新幹線で「連結が分離」の衝撃 社内からも驚きの声
重大な事故に発展した可能性も
9月19日午前8時7分ごろ、東京に向かっていた東北新幹線の「はやぶさ・こまち6号」が古川―仙台駅間を走行中、連結していた車両が突然分離し、緊急停車した。13時12分に運転を再開したものの、この日の東北新幹線は上下合わせて72本が運休、約4万5000人の足に影響が出たという。 【写真】連結されていた「はやぶさ」と「こまち」が分離するまでの一部始終
現時点で、トラブルの原因はわかっていない。ただ、連結していた新幹線が走行中に分離するのは初めての出来事で、まさに前代未聞のトラブルであった。しかも、下りの線路にはちょうど別の新幹線が差し掛かっており、万が一車両が脱線でもしたら、大事故に繋がりかねない事態であった。 三連休を前に起こった今回の出来事を、現場の社員はどのように受け止めているのか。かつて当該列車(はやぶさ・こまち)に乗務したこともあるというJR東日本の現役社員・D氏に話を聞いた。
まったく想定外の事態
――率直に、今回発生した事故をどのように捉えているか。 D:まずは、社員として、当該列車の乗客のみなさん、そして駅などで混乱に巻き込まれたお客様にお詫び申し上げたいです。事故発生時、私は非番で駅にいたのですが、指令の一斉放送が流れた時に、中堅以上の社員は「は? ? ? ? ? ? ありえないだろ? ? ?」と驚いていました。若い社員は連結の仕組みもわかってない子もいますから、何が起こったのか、よくわからない様子でした。 ――現場としては想定外の出来事だったのか。社内で驚きの声は上がっていたのか。 D:実際に事故が起きたことは多くの社員にとって想定外だったと思います。もちろん分離が起こる可能性は考慮されていて、、訓練でも、万が一分離した場合の対処法について説明は受けます。したがって、新幹線に乗務している社員なら、対処法は知っています。しかし、まさか本当にこんなことが起きるとは……といった前代未聞の出来事だったといえます。朝の管理者ミーティングも長引いていましたし、上層部もよっぽど驚いたのだと思います。 ――Dさんは駅で勤務しているが、駅にはどこまで事故現場の情報が伝わっていたのか。 D:末端の駅まで届く、本社や新幹線の指令は少ないんですよ。なので、今回の件も、深いところまでは知らない社員も多いと思います。ただ、私が勤務する駅ではみどりの窓口が一時混雑し、切符の払い戻しなどに追われました。午前中の時点ではいつ頃復旧できるのかは見通しが立たず、当日の切符については一時的に発売保留となり、夕方の分も売れなくなったのには困りました。