〝高校最強〟鳥栖工レスリング部、地元国スポで連覇を 主将の松原、五輪金メダリストに完敗の経験バネに
全国屈指のレスリング強豪校に成長した鳥栖工高(佐賀)が、10月に地元佐賀県で開かれる国民スポーツ大会(国スポ)でも躍進を狙っている。 ■五輪連覇王者「パリvs東京」金メダル比較に大反響【動画】 少年男子と女子に選手8人を送り込み、成年男子を含めた男女総合成績で同県勢を2大会連続優勝に導くつもりだ。 個人2連覇も懸かる主将の松原拓郎(3年)=同県鹿島市出身=は「絶対にホームで勝ちたい」と、闘志を燃やしている。
練習イコール試合対策
鳥栖工は今年3月の全国高校選抜大会と8月の全国総体で団体戦を制し、2021年以来2度目の「春夏連覇」を達成。国スポの少年男子では、フリースタイル65キロ級の松原、グレコローマン51キロ級の宮原拓海(3年)、同71キロ級の三浦修矢(同)の3人が2大会連続優勝を目指す。 宮原は「全試合を第1ピリオドで勝ちたい」。全国総体との2冠を狙う三浦も「1位を取る」と気合十分だ。 指揮官の小柴健二監督は練習の大半をスパーリングに割いて技と戦術を徹底的に磨くという指導法でチームを強化。基礎体力づくりや筋トレは選手の自主性に委ねている。「練習イコール(試合の)対策。ベンチプレスでどれだけ重量を上げても、試合でポイントが取れなければ意味がない」。実績に裏打ちされた言葉に自信が漂う。 昨年の鹿児島国体で佐賀県はトータル87・0点をマークして他チームを圧倒。小柴健二監督は「今年も各階級で優勝を狙えるメンバーがそろっている。前回と同等の点数を目指す」と意気込む。
五輪制覇を志す主将
松原は3歳でレスリングを始め、小学1年生から6年生まで全国少年少女選手権を6連覇。中学3年でも全国中学選抜選手権の57キロ級を制した。小柴監督は「左右どちらでもタックルができる。同世代のレベルでは防ぎきれない」と太鼓判を押す。 忘れられない試合がある。レスリング日本一を決める昨年末の全日本選手権。男子フリースタイル65キロ級にただ一人高校2年で出場した松原は、2戦目で2021年東京五輪金メダリストの乙黒拓斗(自衛隊)と対戦し、1分44秒でテクニカルスペリオリティー(旧テクニカルフォール)負けを喫した。「おじけづいて技を全く出せなかった」。目標とする選手との初対決は悔いの残る結果に終わった。 苦い経験をばねに、松原は今春の全国高校選抜大会個人戦を制覇。7月のU20(20歳未満)アジア選手権では3位に入った。「自分の技をしっかり出せれば世界でも通用できると思った」と、手応えを口にする。 「この先も練習を積んで、シニアの世界選手権や五輪で優勝したい」と夢を語る松原。まずは地元開催の国スポで仲間たちと頂上に駆け上がる。(山崎清文)