大ノ里の里から大の里へ 大関仕様の化粧まわしプレゼント 青森・藤崎町原産「ふじ」の意匠
新大関大の里(24)に、初めて大関仕様の化粧まわしが贈呈された。「大の里」のしこ名が大正から昭和初期にかけて活躍した青森・藤崎町出身の元大関大ノ里に由来することを受け、同町の平田博幸町長(67)が2日、福岡市内の二所ノ関部屋を訪れて贈呈式が行われた。横綱、大関にしか許されない紫色が使用され、図柄は名産のりんごが描かれた。12月には同町で異色の「後援会」も発足する。 名乗ったしこ名が縁となり、絆へと深まっていく。大の里の大関昇進を祝って、青森・藤崎町が組織した実行委員会から化粧まわしが贈られた。 「化粧まわしをいただき、びっくりしている。初代大ノ里さんがいたから、いま、こうして僕の名前があると思う。藤崎町の思いも背負って九州場所でも頑張りたい」 「大の里」のしこ名は「相撲の神様」といわれた元大関大ノ里からいただいたもの。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が、このしこ名を新弟子につけたいと希望。「の」と「ノ」は異なるものの、先代の親族の了承を取りつけた。 贈られた化粧まわしには白地にりんごが日の丸のように描かれ、「大の里」「ふじ」「青森県藤崎町」と記された。平田町長によれば、藤崎町はりんごの品種で世界、国内とも最も生産量が多い「ふじ」発祥の地。「いま世界一の生産を誇り、わが町で誕生したりんご。日本一の力士はおのずと世界一の力士。世界一の力士になってという思いを込めた」。 また、化粧まわし下端の馬簾(ばれん)といわれる装飾的な房には紫色が使われた。高貴な色とされ、横綱、大関にだけ許された色だ。大の里にとって、紫色をあしらった初めての化粧まわしで「あこがれがあったし、つけたかった。大関としての実感もあるし、紫色を化粧まわしにつけられるのはうれしい」。 大の里は8月、青森県での夏巡業期間中、藤崎町へ足を延ばした。大ノ里の縁者と会うなど親睦を深めたことから、平田町長は12月下旬に同町に後援会を設立する。故郷や本場所開催地を除いて、地縁や血縁などがない土地に力士の個人後援会が発足するのは異例といえる。強さだけでなく、愛される力士へ。応援の輪が広がっていく。(奥村展也) ★この日の稽古は
同部屋の十両白熊との10番を含み、幕下力士と計17番取って10勝7敗。福岡入りして最多の番数をこなした。幕下力士に押し出される場面もあり、「ちょっと疲労がたまってきている感じがする。15日間は長い。調子が悪いときの稽古を乗り越えていくことも大事になってくる」と、本場所を見据えた。