【解説】「ひずみ」の蓄積は?南海トラフ地震の想定震源域 海底で海上保安庁が進める地殻変動観測
■南海トラフ震源域の「ひずみ」分布を2016年に初公表
こうした海底の観測によって海上保安庁は、2016年に南海トラフの「ひずみ」の蓄積分布を初めて公表しました。黄色の矢印は 海底観測によって、どれくらい海底が動いていたかを示すものです。 海上保安庁によりますと、陸側のプレートにおいた観測ポイントは、海側のプレートの沈みこみとともに年間、2~5.5センチ程度動いていることがわかりました。さらに、この観測によって「ひずみ」がたまっていることがわかりました。東海沖や紀伊半島の南、四国の沖合を中心に「ひずみ」が多くたまっているのではないかと推定されています。
■年に4回程度の観測――現在も「ひずみ」がたまり続ける南海トラフ震源域
海上保安庁では現在も、年間4回程度の海底の地殻変動調査をおこなっています。プレートの沈みこみに伴い、観測点の動きも続いています。ただ現在のところ、この動きに特異なものはみられず「ひずみ」は継続してたまり続けているとしています。
■観測は南海トラフ沿い以外にも 関東・東北沖の日本海溝でも――東日本大震災以降の海底の動きも調査
海上保安庁では、南海トラフ沿いのほかにも関東の東側から東北地方の沖合の日本海溝沿いでも、海底の地殻変動の様子をとらえようと調査を進めています。東日本大震災の影響で、海底も大きく動き「ひずみ」も解消されていますが、次におきるかもしれない地震に備え、観測を続けています。 海上保安庁を含め国の機関などは、様々な方法で南海トラフ巨大地震の震源域周辺の変化を捉えようと観測をおこなっています。海上保安庁は「震源域の地殻変動を継続的にモニタリングすることは、地震直前にでる変化などをとらえるため大切」としています。