「アニメの制作本数多すぎ問題」なぜ? 背景にPlayStation2がもたらした「変化」が
PlayStation2発売が大きなきっかけに
国内外での日本アニメの人気を受けて、1995年には年間87本だった制作本数は、現在では年間300本を越える規模にまでふくらんでいます。これほどまでに制作本数が増加したきっかけとして、家庭用ゲーム機「PlayStation2」がもたらした「変化」がありました。 【画像】「こんなのあったの?」 これがPS2で発売された「変なゲーム」たちです(5枚) もちろん、「PlayStation2」が直接の原因になって制作本数が激増したわけではなく、そこに至る背景がありました。1963年に『鉄腕アトム』が日本初の30分テレビアニメシリーズとして放送されて以来、多くのアニメが制作されてきました。1980年代後半までのアニメは玩具や食品のコマーシャル番組として扱われることも多かったのですが、この流れに大きな変化をもたらしたのが、1995年に放送された『新世紀エヴァンゲリオン』です。本編映像が収められたVHSビデオやレーザーディスク(LD)が発売された際には販売店に行列ができ、「アニメそのものが利益を生み出す」という事実が明らかになりました。 また、『エヴァンゲリオン』で取り入れられた「製作委員会方式」は、複数の企業が共同出資することにより、作品が当たらなかった場合でも経営不振に追い込まれるリスクを軽減できるようになりました。 『エヴァンゲリオン』のムーブメントと製作委員会方式の普及、さらに深夜枠の増加や衛星放送「WOWOW」などによるチャンネル数の拡大は、1990年代半ばから後半にかけてアニメ制作本数の増加をもたらし、95年に87本だった制作数は1999年には149本へと増加しています。 この流れは2000年にはいったん収束し、109本へと減少しました。しかし翌2001年には167本を数え、その後は一度も3ケタを割ることなく、2006年には279本へと急増しています。 こうした制作本数急増のきっかけとなったのが、2000年に発売された家庭用ゲーム機「PlayStation2」(以下、PS2)でした。