88歳、デジタルを味方におひとりさまを満喫!若宮正子「命や安全を守るためにスマホと仲良くなる」
スマホ用のゲームアプリ「hinadan」を開発し、世界最高齢のプログラマーとして、大きな話題になった若宮正子さん。88歳の今もデジタル機器を上手に使って、おひとりさま生活を満喫しています(構成=山田真理 撮影=洞澤佐智子) 【写真】若宮さん、「秋茄子の美味しい料理の仕方」をスマホで検索! * * * * * * * ◆AIスピーカーは私の良き相棒 「シニアこそ、デジタルをもっと味方にしましょう」。そんなお話をするために、全国を講演で飛び回っています。旅は大好きなので、チケットを取るのも出かけるのもひとりです。それでは、旅の準備を例に、私のデジタル・ライフをご紹介しましょうか。 わが家のリビングに置いたAIスピーカー(人工知能で作動するスピーカー)は、私の良き相棒です。たとえば「明日は7時に起こして」と話しかけると、「明日の7時にアラームを設定しました」と頼もしい返事。 AIスピーカーなら「今日は何曜日だっけ?」と何度聞いても、家族と違って嫌な顔一つしないで「金曜日です」と教えてくれます(笑)。 この年になると物忘れが多くなりますが、目が悪くなればメガネ、耳が遠くなれば補聴器を使うように、記憶については人工知能にお任せすれば安心です。 パソコンでは、行き先の情報をチェック。以前はインターネットの検索機能を利用していましたが、結果の上位に広告が出るのがわずらわしくて。近ごろはチャットGPTなど、対話型のAIサービスを利用しています。 旅が続いて買い物に出かけられない時は、ネットショッピングが強い味方。普通のお店には置いていない「シニア好み」の商品が、ネットでは見つかりやすいのもありがたいです。たとえば私は焼き芋にするなら、最近人気のねっとり甘い品種よりホクホクのサツマイモが好きなので、ネットショップで見つけて取り寄せています。
旅行鞄には、私が考案した「エクセルアート」をプリントしたブラウスを。経理などに使う表計算ソフト「エクセル」で新しい図案を考えるのが、私の生きがい。今日着てきたトンボ柄のシャツも私の作品です。 腕時計代わりに身につけるのは、スマートウォッチ。健康診断で軽い不整脈が見つかったため、健康の「お守り」代わりにしています。スマートウォッチは心電図を計測できるので、データをパソコンやスマホに保存しておけば、お医者さんに見せることも簡単です。 もちろんスマホも持ち歩きますが、実は私、スマホが得意じゃないの。皆さんもそうかもしれませんが、年を取ると指先が乾燥して、タッチパネルがうまく反応してくれないのです。82歳の時に初めて作ったゲームアプリ「hinadan」も、最近では作者の私がうまく遊べないのだから困ってしまいます。(笑) スマホを始めとするデジタル機器や、アプリなどのサービスを作る企業の人は、おおむね若い人たちです。ですから、指先が乾いて画面が動かないとか、入力方法がわかりにくいといった私たちの悩みがいま一つ実感できないのでしょう。 だからこそ、シニアもどんどん使って、どんどん要望をメーカーに伝えてほしい。そうすれば、もっと使いやすく改良されるはずです。
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