「母親は常に機嫌よくいるべき」はむしろ子どもに悪影響…小児科医が指摘する、真面目な人ほど見落としている一番大切なこと
「親の自己犠牲」が子どもにもたらす悪影響
自分の子どものためだと思って、色々と実践してみたけれど、いまいち結果に結びつかない…。 もしかして、良かれと思ってやっていたことが、子どもの脳を育てるためには逆効果だったなんて事があるかもしれません。 そんな“子育てにおける誤解”を小児脳科学者である成田奈緒子先生が詳しく解説した著書『誤解だらけの子育て』をご紹介します。 【はじめから読む】“完璧な親”は子に悪影響!? 子どものやる気を削ぐ「親のNG行動」を小児科医が解説! 今回は「母親は常に機嫌よくいるべき」というトピックをご紹介。 子どもの前で完璧であろうとするあまり、ストレスを溜めていませんか? でも親のそういった姿こそ、子どもにとってリスクとなってしまう可能性があるのだそうです。その理由は……。
【誤解!?】母親は常に機嫌よくいるべき
親が自己犠牲を手放し、特にしっかりと眠ることが、子どもの脳育ちによい家庭環境をつくります。 特に母親は、昔から「家庭の太陽」などと言われたりします。しかし、真面目なお母さんほど、それがまたプレッシャーとなり、「しんどいことがあっても、私は子どもの前で、常に笑顔でいなければ」と頑張りすぎてしまう場合があります。 また、お父さんから「あなたの機嫌が悪いと、家の雰囲気が暗くなるんだよ」などとお母さんに伝えてはいないでしょうか? 親御さんが明るくポジティブでいることは大切なのですが、それ自体が目的化してしまっては本末転倒です。 「家庭の太陽」という言葉には、二つの意味が込められていると私は考えています。 一つは多くの皆さんが考えているように、家族を笑顔で明るく照らすということ。もう一つは、太陽に照らされた地球が大体一定の温度を保てているように、親御さんが子どもに与える環境が、安定して一定であることです。 実は、この後者が子どもの脳育ちには重要です。ただ、それは「いつも機嫌よくいるべき」という意味ではありません。太陽のように安定した家庭環境を提供するには、やはり親御さんの状態が不安定でなく、健康であることが第一だということです。 親だって人間ですから、いつ何時もニコニコしていられるわけではありません。他人の喜怒哀楽も、家庭生活での重要な学びです。社会に出てからも、同僚や上司が急に機嫌を悪くするといった理不尽なことは、いくらでも起こり得るわけですから。 そんなとき子どもが「お母さん、それって八つ当たりじゃないの?」ときちんと指摘でき、「そうだね、ごめん」と素直に謝る関係性を築けることが、真に大切なことなのです。