日本人が続々スペインサッカークラブを訪ねる理由、スペイン1部リーグのクラブ「ビジャレアルCF」で活動する指導者の視座
今年のゴールデンウィーク(GW)、海外旅行をした人たちは円安にかなり苦しんだらしい。海外では「ラーメン一杯3000円です!」などと報じる番組をテレビでこれでもかと見せられた気がする。 【写真】スペイン一部のサッカークラブ「ビジャレアルCF」で働く佐伯夕利子さん、横浜DeNAベイスターズチームより現地訪問した角田さんら 旅行に行きづらくなるのは悲しいが、それ以上に留学を夢見る若者や海外で学ぼうとする人たちの足かせにならないかと心配になる。 そうした中、このGW中に日本から総勢25名の人たちが、スペイン一部リーグのサッカークラブ「ビジャレアルCF」(以下ビジャレアル)を訪れた。
視察に行くのは、スポーツ指導者に加え、横浜DeNAベイスターズ職員や中竹竜二さん(チームボックス代表取締役)など人材開発やキャリア支援など、ビジネス畑の人たちが多く含まれていた。 ■目からうろこ「教えない指導スキル」 スペイン東部にあるバレンシア州カステリョン県ヴィラ=レアルを本拠地とし、欧州サッカー界の中でも優秀な育成組織を構築するビジャレアル。人口5万人という小さな町にありながら、昨季(2022–23)リーグ成績は5位。3季前にはUEFAヨーロッパリーグを初制覇するなど成長著しい。
このクラブで指導者としてのキャリアを積み、現在もフットボールマネージメント部で組織の中枢を担うのが佐伯夕利子さんだ。女性として初めてスペインで男子ナショナルリーグの監督を務めたパイオニアといえる。2022年まで4年間Jリーグ理事を務め、サッカー界では知る人ぞ知る存在だった佐伯さんはいまや広く知られる存在だ。 彼女は所属するビジャレアルで2014年から120人のコーチングスタッフやスポーツ心理士とともに、指導改革に着手。手取り足取り教えず、選手自身に考えさせるというスタイルを構築してきた。それは指示命令して教え込むような多くのスポーツの指導とは真逆だ。書籍『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』でもそれらについては詳しく描いている。