迅速な救助活動を実践 宮古崎トンネルで防災訓練 事故と車両火災想定
鹿児島県奄美大島の奄美市名瀬根瀬部と大和村国直を結ぶ県道名瀬瀬戸内線の「宮古崎トンネル」(延長2316メートル)で10日、トンネル内での交通事故と車両火災を想定した防災訓練があった。警察や消防、病院、道路管理者など関係機関から約70人が参加。人命救助や消火、他の車による二次事故の防止に向けた活動を展開し、連携体制を確認した。 同トンネルは2022年3月に開通。訓練は供用開始前の21年から毎年実施しており、今回が4回目。 訓練場所は国直側入口から根瀬部方面へ約1・5キロの地点。車2台が正面衝突し、重傷者が2人発生かつ脱出ができない状態を想定した。また片方の車からは、負傷者を救出後、火災が発生した想定も加えた。 訓練は後続車の乗員が事故を目撃し、トンネル内の非常電話を使って通報するところからスタート。救急車や警察車両、消防車などが続々と到着し、救助活動や交通規制・整理、車両の誘導、現場検証、消火活動などを実践した。 人命救助では、救急隊員は負傷者に酸素マスクを付け、救助隊員は専用資器材を用いて開かなくなった車のドアを切断(想定)する作業などを実施。救出後は担架で救急車に運んだ。 訓練後の終了式で、奄美署の西郷隆一郎交通課長は「関係機関が迅速に連携した多くの活動が必要な中、緊張感を持った対応ができていた」。名瀬消防署の泊智仁署長は「各関係機関が情報共有し、初動体制を確認しながら連携の取れたスムーズな訓練ができた」とそれぞれ講評した。 訓練を主催した県大島支庁の瀬戸口淳一建設部長は「トンネル内での交通事故や車両火災は甚大な被害をもたらす恐れがある。こうした実践的な訓練を重ねることが重要で、各機関相互の理解が深まり、連絡体制が確かなものになることを期待する」と述べた。 奄美署によると、同トンネル内では開通以来22年10月に物損事故が1件発生している。