術後4時間半のタクシー移動…マンC施設の2か月は「地獄でした」 “逸材”が苦境から世界へ【独占インタビュー】
オランダのスタートで感じた疎外感…打ち破るために立てた“戦略”
日本人が欧州挑戦する際、言語や文化、さまざまな壁に苦戦することが多い。「立場を作る」というのは簡単なことではない。斉藤自身、最初は「スタメンとして考えられていないというのをすごく感じた」という。悩みに悩んだ結果、“戦略的”に自分を見せることに成功した。 「まずは自分のチームに対する本気度をチームメイトやスタッフ、監督に分かってもらおうと思いました。本当はパスからの抜け出しが得意ですが、分かりやすいのは1対1の仕掛けです。抜け出しはやはりパサーとのコンビネーションが必要になります。自分のプレーを存分に分かってもらうなら1対1の仕掛けで強さを発揮できるかどうかを見せたほうが早いかなと思いました」 まずゴールに「立場を作る」を置いた。そこから逆算して「そのためには?」「そのためには?」を続けて考える。思考を巡らせることで「指示も飛んでくるようになった」と自ら道を切り開いた。だからこそ感じたこともあった。 「本当に個の技術が大事だなと思いました。戦術、戦術理解ももちろん大事ですが、同じぐらい大事なのは個です。個の技術があれば、戦術も全部意味なんかなくなっちゃうな、と思っています。プレスをかけたところで強い相手にははがされてしまうので。前の選手は1人でチャンスを作れることが勝ちだと思います」 目指してきたパリ五輪へ突き進むため――。オランダで積んだ経験は何にも代えられない。世界への挑戦はすぐそこ。いよいよ、“その時”がやってくる。 [プロフィール] 斉藤光毅(さいとう・こうき)/2001年8月10日生まれ、東京都出身。横浜FCの下部組織で育ち、ユース所属の高校2年生時に2種登録。2018年に16歳11か月11日のクラブ最年少でJリーグデビュー。2021年からベルギー2部ロンメルSKに完全移籍。2022年夏からオランダ1部スパルタ・ロッテルダムへ期限付き移籍している。各年代別代表に選出されており、2019年のU-20ワールドカップ(W杯)で日本代表FW中村敬斗やDF伊藤洋輝、DF菅原由勢らとともにチーム最年少でメンバー入りを果たした。
FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi