「タイブレークに“必然”を感じたことは一度もない」甲子園決勝でもタイブレーク制は必要? 監督たちが語る本音は…「場面設定も公平ではない」
史上初のタイブレーク決着となった関東一(東東京)と京都国際(京都)による夏の甲子園決勝。最終盤まで競り合った白熱のゲーム展開だっただけに、9回を終えてのタイブレーク制にはSNSをはじめとして賛否両論、多くの意見が上がった。では、全国の頂点を決める一戦での新システム導入に、現場の監督たちはどんな思いを抱いたのだろうか? 《全2回の2回目/最初から読む》 【現地の写真】な、なんて痛々しい…「試合後に泣き崩れる関東一のラストバッター」「それを優しく抱き寄せる先輩」…“テレビに映らない”京都国際と関東一の決勝をナンバー撮影の現地写真で全部見る 甲子園の決勝戦にも、タイブレークがあるのか――。 恥ずかしながらいまのいままで知らなかったので、今年の夏の甲子園の決勝戦を見て驚いた。決勝だけは「延長で白黒つけるんだろう」と理由もなく、そう決めつけていた。 そんな話をあるチームの指導者の方としていると、こんな言葉が返ってきた。 「夏の甲子園に勝ち上がってきたチームは、立派な<勝者たち>じゃないかと思うんです。ムリヤリ、敗者を作る必要はないでしょう。甲子園は、お祭りでいいんじゃないでしょうか」 「甲子園はお祭りでいい」――それは、どういうことだろうか。
「最後の最後まで、敗者を作る必要はないと思う」
「2020年の交流試合の形が、私には理想形だと思えるんです。県大会の勝者たちを、主催者が敬意を持って甲子園に招待する。全チームが1試合ずつ、甲子園で試合をして、勝敗を決するというより甲子園での野球を味わい尽くす……みたいな」 どうしても、優勝校を決めなきゃいけないというのなら……と、独自のアイディアも明かす。 「決勝戦は9イニングで終了。もし同点だったら、両校優勝で良いでしょう。メダルは倍の数、用意しておけばいいんだし、旗(大優勝旗)だってもう1本作っとけばいいんです。最後の最後まで、敗者を作る必要はないと思うんです」 こんなふうに考えるようになった経緯……そこは、ご自身の体験が、ベースになっているという。 「高校生活のすべてと引き換えにして、<甲子園>を目指す。さんざん苦労して、たいへんな思いして、県大会を勝ち抜いて、やっとこさっとこで、甲子園に出場した。ところがやっと出られたと思ったら、1回戦で強い相手にボコボコにされて、気がついたら控え室で、みんなでワーワー泣いていました。 なんだ、オレの<甲子園>って、こんなことかと。オレの甲子園は号泣だけか、泣いたことしか覚えてない。「勝者」だと思って出て行った甲子園なのに、完全な「敗者」になって……。生徒たちをそんな目に遭わせる必要があるんですかね」
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