20年のツアー生活に幕 “戦う桃子”不変のフィナーレ【2024年“この1シーン”】
白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。その今季全37試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。 【写真】選手からのサプライズで涙… ■大王製紙エリエールレディス(11月14~17日、愛媛・エリエールゴルフクラブ松山、優勝:山下美夢有) ツアー生活20年を締めくくる最後の一打は、1メートルのボギーパット。18番グリーンを取り囲んだ大勢のファンは、「桃ちゃん♡ 20年間 お疲れ様 たくさんの感動をありがとう」と書かれた横断幕や応援タオルを掲げ、惜別の思いを伝えた。プレーを終えた多くの選手も見守る中、2007年の賞金女王は少し照れくさそうに笑顔を浮かべながら、何度も手を振った。 「うまくなりたい、強くなりたいと思ってやってきたけど、最後は3パット。最後までうまくなれなかったなと思いました」。そう語った上田桃子の表情はどこか晴れやかだった。「でも、この20年、精いっぱいうまくなりたい、強くなりたいと毎日考えてきた。それが唯一、誇れることです」。 2005年7月、プロテストに一発合格。同年9月の「マンシングウェアレディース東海」でデビューしてから450試合目の今大会が、第一線を退くラストゲームとなった。デビュー戦と同じ予選落ちという結果に終わったが、その歩みは輝かしいものだった。 ツアー通算17勝(米ツアーメンバーとして出場した「ミズノクラシック」を含む)。60試合に出場した国内メジャーでは勝利を挙げられなかったものの、やり切った20年に悔いはない。ホールアウト後には、大会主催者と選手が企画したセレモニーが行われ、ギャラリーが見守る中、多くの選手が集結。上田の顔写真と優勝記録がプリントされた特製Tシャツが贈られるサプライズ演出も用意された。 「まさかあんなに多くの選手が残ってくれるなんて思わなかった」と驚きと感謝の言葉を述べた上田。「20年応援していただき感謝しかありません。プロゴルファーをやってきて本当に良かった」と涙ながらに感謝を伝えた。 今後について「本当にまだ何も決まっていない」と語る上田。ただ、結婚した夫との新たな生活については「女性として生きることも新しいチャレンジ。社会人として生きる方がゴルファーよりも大変かもしれない」と笑顔を見せた。座右の銘である「日々成長」を胸に刻み、ゴルフから離れたフィールドでも“戦う桃子”は変わらない。