東日本大震災のがれき使った「復活の薪」 震災後に移住してきた若者たちの暮らしに暖かさを届ける 岩手・大槌町
IBC岩手放送
東日本大震災のがれきを使った「復活の薪」から13年目の冬。被災者を支えたその薪は現在、震災後に大槌に移住した若者に暖かさを届けています。 【写真を見る】東日本大震災のがれき使った「復活の薪」 震災後に移住してきた若者たちの暮らしに暖かさを届ける 岩手・大槌町 大槌町の吉里吉里地区です。海を見下ろす高台に薪を割る音が響いています。大槌で薪を生産しているのはNPO法人吉里吉里国です。 町の山から切り出した木で薪を作り年間約20トンを全国に販売しています。 本格的な冬を前にしたこの時期は、出荷の最盛期で、10人ほどのスタッフが薪割りから選別、袋詰めまでを全て手作業で行います。 (NPO法人吉里吉里国代表 松永いづみさん) 「BBQ需要が少し増えてきているんで、少量ですが使う人自体は増えてるのかなっていう印象です」 NPO法人吉里吉里国は東日本大震災が発生した直後の2011年5月、地区の住民が中心となって立ち上げました。 吉里吉里地区は津波で97人が死亡または行方不明になり、地区の半数の建物が大きな被害を受けました。 被災者のひとり、芳賀正彦さんが悲しみにくれる地区の人々を前に「がれきで薪を作って売ろう」と呼びかけ、「復活の薪」と名付けて全国に販売したところからスタートしました。 「吉里吉里国」という名前には地区の人たちが自らの足で立ち上がろうとする決意が込められています。 (松永いづみさん) 「当時の思いっていうのは計り知れないですが、やっぱりやる仕事があった。役割ができたという事で多くの人たちの立ち上がるきっかけになったと聞いています」 震災から13年、現在は町の森林資源を活用しながら薪を作り続け、環境保全や交流事業にも力を入れています。 薪に使われる広葉樹やスギは荒廃した山の再生を行う過程で出てきた間伐材を活用して作っています。 震災当時に被災者の暮らしを救った吉里吉里国の薪は今、震災後に町に移住してきた若い人の暮らしに暖かさを届けています。 6年前に北海道から移住してきた大場理幹さん27歳です。町の自然を活かしたエコツーリズムなどの事業を行うNPO団体を主催しています。