その「発達障害」の症状、睡眠不足が原因かも…子どもに必要な睡眠時間は“8時間”の誤解が生む悲劇
---------- 近年、「発達障害」といわれる子どもが急激に増えています。「発達障害」の言葉が広まった結果、大人が理解できない子、大人の期待どおりに育っていない子、扱いづらい子などが、「発達障害」ではないかと疑われていないでしょうか。「発達障害のような症状」が現れる原因はどこにあるか、今の困りごとへはどう対処するか、どう育てていけばよいか、をくわしく解説した『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』から、いくつかの章をご紹介します。 ---------- 【続き】塾に通う子どもも早寝が叶う睡眠&食事法
子どもたちが睡眠不足で、イライラや不注意に
眠ることは心身を成長させ、健康を保つうえで重要な役割をもっています。ところが睡眠不足になると成長ホルモンやセロトニンの分泌が不足したり、疲労がとれなかったりして、役割が果たせなくなります。その影響は、さまざまなかたちで心身に現れます。なかには「発達障害」の症状にみえるものもあります。 ■睡眠の大切さ 睡眠には、脳が活動しているレム睡眠と脳が休んでいるノンレム睡眠があります。レム睡眠とノンレム睡眠を4~5回くり返すと、十分に眠れたと感じます。レム睡眠とノンレム睡眠には、それぞれ役割があります。 ■睡眠不足になると… ホルモン分泌や疲労回復、記憶の整理などができず、影響は心身に現れます。そのとき睡眠不足を考慮しないままでは、「発達障害」を疑うことになりかねません。 ・イライラ セロトニンが分泌されないと精神的に不安定になる ・学力低下 記憶の整理がおこなわれない ・成長が遅れる 成長ホルモンの分泌が不足して発達が遅れる。からだだけでなくこころの成長にも影響する ・体調不良 疲労回復できていない。頭痛、腹痛、めまい、食欲不振などが現れる
8時間睡眠では全然足りない
小学生の睡眠時間は10時間が理想です。未就学の子どもは、さらに長時間の睡眠時間が必要で、5歳なら11時間必要です。 人間は本来、昼間活動して夜は休む動物です。ところが現代の子どもは勉強や習い事、ゲーム、親の仕事などで、生活全体が後ろにずれてしまっています。朝起きる時間は後ろにずらせないので、睡眠不足にならざるを得ません。 10時間の睡眠時間をとろうとするなら、夜8時から朝6時が望ましい時間帯です。夜8時に寝るのが難しいなら、せめて夜9時までには寝かせてください。9時間は睡眠時間がとれます。 ■必要な睡眠時間 大人の睡眠時間が7時間だから子どもは8時間でいいというわけではありません。小学校低学年までは、10 時間以上が必要です。 ■子どもの就寝時刻 現代の子どもたちの就寝時刻を調べた調査によると、寝る時刻がとても遅いことがわかります。 続きは<夜は「勉強より睡眠」が大事。塾に通う子どもも早寝が叶う睡眠&食事法>にて公開中!
成田 奈緒子(発達脳科学者)