スイスで実現する「地下自動モジュラー物流網」は日本でも可能なのか?【清水草一の道路ニュース】
■NEXCO中日本が公開した論点とは?
スイスの計画は全線トンネルだが、トンネル掘削には巨費がかかる。中央分離帯など、高速道路上の空間を利用すればずっと安上がりに思えるが、実際はどうか?今年5月の第3回会合では、NEXCO中日本が具体的な論点を公開した。 その内容は衝撃的だった。ぶっちゃけ「中央分離帯や路肩側に専用レーンを設置するのは極めて困難で、地下トンネルのほうが現実的」という結論だったからだ。 路肩側の場合、インターチェンジやSA・PAの分合流のたびに、物流レーンを立体交差させる必要がある。中央分離帯にも標識や跨道橋の支柱が多数立てられているので、すべて撤去し再構築する必要がある。トンネル区間は、内側か外側に新規にトンネルを掘らなければならない。 そもそも路肩も中央分離帯もたいした幅はないから、トラックを走らせることなど不可能で、スイスの物流専用トンネルのように、幅の狭いパレットを走らせるしかない。 事故や災害、落下物、除雪の影響を考えると、堅固なボックス構造で守らねばならならず、建設するとなったら、本線側も長期の車線規制が必要になりそうだ。ならばいっそトンネルを掘ったほうが現実的ということになる。
■高速道路の次のネットワークとして議論すべき!
高速道路の地下にトンネルを掘るのも簡単ではない。高架部の地下には基礎杭が打ち込まれていて、橋梁の場合は深さ40mに達する個所もある。トンネルはそれより深い位置に掘らねばならない。 国交省が各建設会社にアンケートを実施したところ、スイスのトンネルサイズ(幅6m)で、建設費は10kmあたり70億円から800億円。東京-大阪間なら最大で4兆円程度になる。リニア中央新幹線(トンネル直径13m)品川―名古屋間の総工費約7兆円を考えれば、出せない金額ではない。 スイスの計画が成功するかどうか未知数だが、成功すれば、トンネル物流ネットワークが欧州全域に拡大する可能性もある。国際競争力を考えると、日本も真剣に検討する必要があるだろう。 ただ、トンネルを掘るならば、深い基礎杭がある高速道路の地下でなくてもいいはずだ。国道の地下だっていい。あるいは全線大深度地下トンネルなら、ルートの制約はほとんどない。 日本ではまだ夢のまた夢の段階だが、日本の高速道路網も、ようやく9割方完成した。そろそろ次世代の物流ネットワークが必要な時期に来ているかもしれない。
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