宝塚 宙組トップスター芹香斗亜 退団公演本拠地で開幕 匂い立つ色気醸し出す
宝塚歌劇団宙組トップスター芹香斗亜(せりか・とあ)の退団公演「宝塚110年の恋のうた/Razzle Dazzl」が1日、本拠地・宝塚大劇場で初日を迎えた。 【写真】色気ダダ漏れのスーツ姿で演じる芹香斗亜 「宝塚-」は宝塚歌劇百十周年紀念奉舞と銘打たれ、宝塚歌劇110年の歴史を創り上げてきた数々の「日本物」作品から、恋にまつわる名曲で紡いだショー。真っ暗な中で緞帳が上がり、パッと一斉に照明が点く日本物らしい華やかな幕開で、懐かしの主題歌が次々と歌い継がれた。芹香は藤原定家に扮し、匂い立つような色気を醸し出し、式子内親王役のトップ娘役・春乃さくらと舞い歌った。圧巻は2人の三十一文字の息も継がせぬ懸歌、返歌の応酬。どんどんスピードが上がり、早口言葉のようにもなるが、口跡もよく聞き取りやすく、客席にもしっかりと歌が届き、舞台人としての力量を見せつけた。 「Razzle-」は1950年代のハリウッドを舞台に、芹香演じる財産を管理された富豪のレイモンドが、婚約者アビー(天彩峰里)と破婚するため、映画女優を夢見るドロシー(春乃)との愛を賭けの対象とするが、いつしか本気へと変わるハートフルなコメディ。正月らしい明るい作品で、生真面目さと抜群のコメディセンスが同居する芹香にピッタリの役。芹香の後任で、初の宙組生え抜きトップとなる桜木みなとが、レイモンドの親友の人気俳優トニー役。現トップと次期トップの丁々発止のセリフの遣り取りは小気味よく、芝居を盛り上げた。8月に星組へ組替えする瑠風輝は迫力ある美貌女優役で、美しいメゾソプラノも披露した。 また芝居のラストにはフィナーレも。桜木と瑠風の2人での歌唱指導にはじまり、芹香が男役と娘役をそれぞれ率いたダンスシーン、春乃とのデュエットダンスなど、コンパクトながら最後の男役姿をファンの目に焼き付けさせた。 芹香は昨年6月12日付で宙組トップスターに就任。同9月29日に「PAGAD/Sky Fantasy!」で大劇場トップお披露目初日を迎えたが、宙組生徒の転落死により、僅か2日で公演休止となった。6月に大劇場で9カ月ぶりとなる特別公演「Le Grand Escalier-ル・グラン・エスカリエ-」を上演。大劇場公演3作目となる本公演で退団する。 宝塚大劇場は2月2日まで。東京宝塚劇場は3月15日~4月27日。