「犯人視はしていない」伝える意向 静岡地検の検事正、袴田巌さんに直接謝罪へ【再審無罪確定】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件を巡り、静岡地検の山田英夫検事正が近く、静岡地裁のやり直しの裁判(再審)で無罪判決が確定した袴田巌さん(88)に直接謝罪する方針であることが20日、関係者への取材で分かった。27日にも浜松市内にある袴田さんの自宅を訪ねる方向で調整している。 静岡地裁は9月の再審無罪判決で、捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)があったと認定した。畝本直美検事総長は控訴断念に際して、捏造が認定されたことに「強い不満」を表明。判決理由に多くの問題を含んでいるとして「到底承服できない」と反発し、上級審の判断を仰ぐ内容だったと主張した。これに対し、弁護団は袴田さんを犯人視していると反発し、談話を撤回するよう求めていた。 関係者によると、山田検事正は袴田さんへの謝罪の場で、犯人視はしていないと伝える意向とされる。 袴田さんは1980年に死刑が確定した。2023年に再審開始が決まり、同年10月に再審が始まった。地検は有罪立証を維持して改めて死刑を求刑したが、地裁は9月の判決で袴田さんに無罪を言い渡した。
静岡新聞社