白湯で体を優しく温める「サユナー」が増加中
冷えた体を温める飲み物の人気ナンバーワンは、なんと「白湯」だった。カフェインや糖分を含まないため、健康に関心の高い人たちの間で支持が増えていることを受け、アサヒ飲料は2022年11月からペットボトル入りの「アサヒ おいしい水 天然水 白湯」を販売し、人気を呼んでいる。白湯を愛飲する「サユナー」が増えている。 アサヒ飲料が20代から50代の男女1600人を対象に行った調査によれば、自分が冷え性であると感じている人が全体の約6割にものぼった。そのうち約8割は女性だが、男性、とくに20代の男性にも冷え性を自覚する人が多い。 そうした、自分は冷え性だと思っている人に体を温める目的で温かい飲み物をとることがあるかを尋ねると、7割の人が「はい」と答えた。そして、温かい飲み物でもっとも人気が高いのが白湯だ。僅差で味噌汁、コーヒー、スープと続くが、白湯を支持する人は「すぐに飲める」、「経済的」、「カフェインがない」、「糖分がない」、「利尿作用がない」という理由をあげている。 白湯とは、普通のお湯(摂氏40度以上に沸かしたもの)と違って、一度沸騰させて飲みやすい温度に冷ましたものを言う。その最大の効能は、内臓を温めてくれることだ。また、美容、リラックス、水分補給を目的としている人も少なくない。事実、サユナーには美容意識が高い人、体を鍛えている人、睡眠の質にこだわる人が多く、そのほかの飲み物で温活している人たちと明らかな差が見られた。
ヒットの理由は「白湯」というワード
では、サユナーたちは白湯をいつ飲んでいるのか。調査では、朝起きたときが圧倒的に多かった。続いて、寝る前、家でくつろぐとき、などとなっている。一般的に朝起きたときに飲むのがもっとも効果的と言われているので、そこからもサユナーの意識の高さがうかがえる。 アサヒ飲料の推計では、白湯を飲む人は2009年の約11パーセントから、2022年には約60パーセントと約5倍も増えている。そこで同社は2014年に「アサヒ パナジウム天然水 ホット」を販売したが、あまり売れなかった。敗因は「白湯」というワードが商品名に入っていなかったためだと、アサヒ飲料マーケティング二部ウォーターグループの鈴木慈氏は同社の公式ホームページで話している。2022年には「白湯」のネーミングで再チャレンジ。限定販売ながらこれが大ヒットした。2023年9月には、夏も飲みたいという声を受けて通年販売となった。2024年には累計出荷本数が前年比で126パーセントとなり、購入者の3割は男性だとのこと。 「ただのお湯を買うのか?」と訝る人もいるかもしれないが、今や水を買って飲むのは当たり前の時代。白湯だって、とくに寒い屋外で、飲みたいときにすぐに飲めるのはありがたい。
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