米民主党の恐れる「MAGA三冠」、バイデン氏が上下院の足引っ張れば実現も
議会を支配した時期ほど大統領は実力を発揮
近年、大統領は議会で過半数を獲得した時期に後々まで影響を及ぼす成果を残している。ほとんどの場合が大統領就任直後だ。 バイデン氏が巨額のインフレ削減法、超党派の賛成で可決したインフラ再建法、退役軍人の医療補助を拡大するPACT法などに署名したのは就任最初の2年間、ちょうど民主党が上下院とホワイトハウスを支配していた時期だった。 トランプ氏が恒久的な法人税減税を法制化したのもやはり就任から最初の2年間で、共和党がホワイトハウスと上下院を支配していた。 オバマ政権下での医療保険制度改革法も同じ。今月2日に制定から60周年を迎える公民権法も同様だ。 とはいえ、上院で議事妨害をかわすのに十分な超過半数を確保し、重要かつ包括的法案を難なく可決する可能性は民主・共和ともに低い。だが当然ながら、連邦議会を支配できれば建設的な4年間の土壌を作り出せる。 すでに方々で報じられているように、トランプ氏と支持者は11月の選挙で当選したあかつきには政権の態勢を変えるつもりだ。上下院を押さえれば、共和党はさらに多くの優先課題を恒久化できるだろう。
「余計なことはせず、ありのままの自分で」
数十年にわたって下院での過半数獲得と維持に専念してきたナンシー・ペロシ前下院議長のような重鎮でさえも、バイデン氏はまだまだやれることを民主党員と有権者に証明するべきだと語った。ペロシ氏はバイデン氏に、一連のインタビューやタウンホール集会への出席を勧めた。 ペロシ氏は2日、MSNBCとのインタビューに応じ、「余計なことはせず、ありのままのジョーでいればいい」と発言した。「自分の価値観、知識、判断力を示すのだ」 だがペロシ氏も討論会でのバイデン氏のパフォーマンスについては、「病気の症状なのか、それとも体調の問題なのか、疑問に思うのは当然だ」と述べた。その後すぐ同氏はこうした疑問がトランプ氏にも当てはまると続け、理由としてトランプ氏が討論会でたびたび嘘(うそ)を繰り返した点を挙げた。とはいえ、決して大統領としてのトランプ氏の技量を安易に支持しているわけではない。トランプ氏もバイデン氏も、何らかの認知検査を受けてもいいのではとペロシ氏は発言した。 「精神状態や健康に関して、いずれの候補者も世間が望む検査を受ける義務がある――二人ともだ」(ペロシ氏) ◇ 本稿はCNNのザカリー・ウルフ記者による分析記事です。