米民主党の恐れる「MAGA三冠」、バイデン氏が上下院の足引っ張れば実現も
数十年にわたる影響
イリノイ州選出の民主党下院議員マイク・キグリー氏は、バイデン氏に選挙戦撤退を促してはいないものの、選挙戦を続行するか否かという大統領の決断が大統領の座や個人のレガシー以外にも影響するだろうと指摘した。 「大統領の決断は今後4年間ホワイトハウスで誰が采配を振るうのかだけでなく、上院議会の構成、下院議会の構成も左右する。今後数十年にわたって影響が及ぶだろう」(キグリー議員) 現在下院における共和党のリードは219対213と僅差(きんさ)であることから、民主党にとって過半数獲得が射程距離に見えてくる可能性もあった。
「チームスポーツ」で助けが必要なのはバイデン氏
バイデン氏のかつての上司、バラク・オバマ元大統領は先月28日にニューヨーク市で行われた政治資金パーティーに出席した。パーティーにはニューヨーク出身で、下院多数派の議長になるとの呼び声も高い民主党幹部のハキーム・ジェフリーズ下院議員も出席していた。 CNNも報じたように、オバマ氏は総選挙を大統領がキャプテンを務める「チームスポーツ」にたとえたが、今年の選挙では議会選挙が有権者を投票に駆り立てる動機になるはずだと発言した。 「我々は、行政府として巨大な力を持つホワイトハウスを押さえなくてはならない」とオバマ氏。「何としてもホワイトハウスを再び手中に収め、ハキーム・ジェフリーズ議員を下院議長に据えなければならない。そうした必要性が十分な動機付けになるはずだ。こうした方面で我々がきっちり仕事をすれば、おそらくバイデン氏の再選に向けた選挙活動にも最高のサポートになるだろう」 バイデン氏の当選には他の民主党議員の後押しが必要になることを、それとなくほのめかした形だ。
「MAGA三冠」の脅威
今月1日、民主党のストラテジストでCNN政治解説員でもあるポール・ベガラ氏はCNNの番組「ザ・リード」に出演し、バイデン氏に対するプレッシャーは始まったばかりだと述べた。7月4日独立記念日に、議員は各々の選挙区で有権者と対話することになるからだ。 「おそらく有権者からは、気は確かか?と言われるだろう。民主党はバイデン氏がトランプ氏に敗北するだけでなく、上下院を道連れにするのではないかと懸念している。そうなればMAGA(トランプ氏が唱えるスローガン『米国を再び偉大に』の頭文字)三冠が実現する――トランプ氏本人も、少なくとも1日は独裁者になると言っている」と、ベガラ氏は司会のジェイク・タッパー氏に語った。