陸上競技は“人生の宝物” 76歳の挑戦「今を楽しむことで、夢が叶う」
今年は、パリオリンピック、パリパラリンピックで、日本選手が数多くの金メダルを獲得しました。しかし、金メダルは、それだけではありません。 それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
「あけの語りびと」で6年前にご紹介した、元タクシードライバーの相羽吉男さんから、嬉しい知らせが入りました。この夏、スウェーデンで開催された「世界マスターズ陸上」の M75(75歳~79歳・男性の部)において、100mと300mハードルで、2 つの金メダルを獲得しました。 「世界の75歳以上の中で、一番速い男」となった相羽さん。その飽くなき挑戦とは。 相羽さんは、福生市在住で現在76歳。短距離走を始めたのは、35歳のころ、知人に誘われて、福生市の体育大会に出場したのがきっかけでした。 「当時100mを12秒6で走りましたが、もっと速いランナーがいましてね、なかなか勝てなかったんです。でも、もっと年を取ったら勝てるんじゃないか、と。59歳のとき、東京都のマスターズに出場したら初めて優勝できて、表彰台に立ち、首に金メダルをかけてもらったときの気持ちは最高でした」 還暦を迎えた相羽さんが、次に目指したのは、全国大会でした。 「日本各地には、同じ年で、まだまだ足の速い人が大勢いるんです。(上には上がいるんだなぁ)と、逆に張り合いが生まれましたね」 「全日本マスターズ陸上」の60代で100m、200m、400mで、日本チャンピオンに輝いた相羽さんが、次に目指したのは「世界マスターズ陸上」でした。 61歳で出場した「フィンランド大会」では、200mで銅メダル! 67歳で出場した「フランス大会」では、今度こそ金メダルを目指した200mでしたが、ラインを踏んでしまったため、まさかの失格。 6年前、70歳で出場した「スペイン大会」では、長旅と時差ぼけの影響で、初戦の100mは力が出せないまま、8位でしたが、得意の200mでは銅メダル、300mハードルでは銀メダルを獲得! もう少しで、金メダルに手が届く! と手応えを感じた相羽さんは、いままでの練習を見直し、YouTubeで知ったプロのコーチに指導を仰ぐことになりました。