【期待を裏切ったマレーシア首相】西側諸国が間違ったアジアの指導者を支持する背景
2024年8月29日付のEconomist誌は、マレーシアのアンワール・イブラヒム首相を念頭に、西側諸国はどのアジアの指導者を支持するかにおいて間違いを犯す傾向があり、それは何故だろうかと問うコラムを掲載している。 8月27日、マレーシア検察庁は野党党首ムヒディン・ヤシン元首相を反逆罪で起訴した。罪状は、前回の総選挙で議会の過半数の支持を得たのに国王が自分に組閣を要請しなかったと主張したことだという。 国王が22年に組閣を要請した人物は、野党時代に男色の罪で2度も投獄されたアンワール・イブラヒム(現首相)だ。当時、彼は西側の記者や政府のお気に入りで、独房から出ればマレーシアの政治を自由化できる人物だと持ち上げられていた。しかし、22年11月に連立政権のトップとして権力を握ったアンワールは、全く異なる指導者となった。 彼は、王室を守るために扇動禁止法を適用し、政治的反対派に同法を適用しても政治による干渉ではないとしている。多数を占めるマレー系のための特権制度が長い間実施されているこの国で、彼は、人種間の平等を達成するには時間が必要だと主張した。 さらに、45億ドルが国庫から違法に引き出された国営投資ファンドのスキャンダルが処理しきれていないのに、彼は、汚職で告発されている政治家を副首相に迎え、当該政治家への告訴の取り下げ決定を擁護した。 アンワールが浮かばれずにいた数年間、西側は彼を支援し続けたが、結局は成果を生まなかった。アンワール首相はプーチン大統領と会談し、5月には、ハマスの指導者の故イスマイル・ハニヤと会った。6月には、中国の李強首相と会談し、マレーシアは中国が台湾を「統合」するのを支持すると発表した。 西側は、結局アンワールを誤解していた。西側は往々にして、アジアの野党政治家について、リベラルなアプローチを口にするだけで彼らを擁護する傾向がある。アンワールの場合、マハディール政権下で副首相を務めた時期、彼が将来どう国を統治するかの手がかりを得ることができたはずだ。