脚本・徳尾浩司×一戸慶乃が『ライオンの隠れ家』共作でつないだバトンは役者・柳楽優弥、坂東龍汰へ
■“良いドラマを目指しましょう”という目標に向かって書き進める 多くの作品を手掛けている徳尾さんとコンビを組んで本作に挑んだのは、新人脚本家の一戸さん。俳優専門学校を卒業後、一般企業で派遣社員として勤めながら、舞台やテレビの企画・制作を学ぶため「よしもとクリエイティブカレッジ」に入学。その授業の一環として、学生演劇の脚本を手掛けたことをきっかけにシナリオ執筆をスタートし、本作が連続ドラマデビューとなる。そんな一戸さんのことを徳尾さんは「きちんと人間を書ける人。一戸さんだから、このバトン方式の執筆ができた」と語る。 一戸さんは「徳尾さんの寛容さがあったからこそ」と語りながらも、自分が共作として本作に入る意味を考え、「徳尾さんはお1人で素敵な作品を完成させることができるベテランなので、図々しいですが自分の役割は違う角度からアイデアを提案することだと思ったんです」という答えにたどり着く。 共作で書いていくに当たって一番大切にしていたことは「良いドラマを目指しましょう」ということだったと明かす。「2人で書いていくという、これまでやったことがないやり方。互いの『相手の書くここが気に食わない』とか『自分が書いたセリフじゃないと嫌だ』といった対立は作品を見てくれる人には関係がない。良いドラマにするために自分たちができるベストは何か、というふうな意識でお互いに臨もうと話しました。一度そう決めたら、たとえ僕が書いた渾身のギャグが消されたとしても気にならない(笑)」と明かしてくれた徳尾さん。 一戸さんは「打ち合わせを重ねることでもともとあったシーンやセリフがなくなってしまったとしても、『私、ここすごく好きでした』と伝えますし、徳尾さんも『変わってしまったけど、あれは良かったよ』と声を掛けてくださって。互いに言葉を掛け合うことができたからこそ、このバトン形式で良い作品が作れたんだろうなと思います」と。徳尾さんも「互いに精査し合って作れたことが、1人で書くときとの違いでもありますし、一戸さんとだったからできたことかなと思う」と振り返った。