なぜ早大ラグビーは明大にリベンジを果たし11年ぶり16度目の大学日本一を手にすることができたのか?
前半38分にトライしたフランカー、相良昌彦は、監督の次男である。親子での大学日本一は史上初の快挙となるが、息子のプレーについて聞かれると「タックルも決めていたしいい選手です。この舞台でトライをとるのだからたいしたものだな」と、少し照れくさそうに首をすくめてコメントした。 相良監督が早大4年の時は準優勝。日本一のときにだけ歌うことができる部歌「荒ぶる」を歌えなかった。その栄誉ある“荒ぶる”をいま教え子たちが新装なった国立競技場のグラウンドで高らかに歌っている。まるで勝利を戦前から確信していたかのように、選手たちは“荒ぶる”が印刷されたビクトリーTシャツを着ていた。 その「歓喜」を見ていた明大の武井主将は「追いつけなかったが、前半の大量失点にあきらめず最後まで追い上げたのは収穫で、来年以降につながるだろう。いや、つなげなければ……」と唇を噛みしめ、後輩たちへリベンジを託した。復活した早稲田、猛反撃及ばず来季に期す明治。レベルはともかく伝統の一戦に恥じない早明戦だった。 (文責・柏英樹/スポーツジャーナリスト)