大谷翔平効果で「エンゼルスファン数が巨人超え」の衝撃…大谷人気“一強”が示す「巨人離れ」「野球中継の栄枯盛衰」
連日のように試合での活躍が報じられる大谷翔平。大谷の人気とは実際どれほどのものなのか。4月24日発売の『大谷翔平の社会学』(扶桑社新書)より、日米の大谷人気について考察したパートを抜粋して紹介する。(全3回の第2回/初回から読む) 【写真】「大谷が東京を占拠している!」怖いくらい大谷だらけの日本の日常&アメリカでの実際の大谷人気を写真で見る
アメリカの評価を気にする理由
大谷は日本にいる頃からスーパースターではあったが、そのステイタスがさらに一段も二段も高まったのはやはり、アメリカでプレーするようになってからだ。 大谷が日本だけでなく世界で、というかアメリカで認められたという事実は大きい。極東の島国に暮らす「辺境人」である僕ら日本人は、昔から中国や欧米などその時々で「世界の中心」だった場所の文化、習慣を取り入れながら生活してきた。常に外来の文化や習慣を参照し、それを独自にカスタマイズしてきた僕ら日本人は、自分たち自身でこしらえた価値判断のモノサシに絶対的な自信を持てず、常に「他者の評価」を気にしてしまうという性(さが)がある。今日では、とくに欧米という「世界の中心」の評価を。 大谷が23歳で渡米し、MLBで活躍してアメリカで評価されて初めて、僕ら日本人は「大谷は本当にすごいのだ!」という確信を得た。日本メディアの報道を見ると、たとえば「MLB公式サイトが大谷を特集」「ニューヨーク・タイムズの記者が大谷を絶賛」「対戦相手の監督が大谷に脱帽」といった類いの見出しで溢れている。「大谷はアメリカでこれだけ注目されていますよ!」「アメリカでも高く評価されていますよ!」ということを伝えているのである。大事なのは自分たち日本人の評価ではなく、アメリカ人がどう評価しているのか、なのだ。もっとも、アメリカ人のコメントにはお世辞やリップサービスが多分に含まれている場合もあるので、多少割り引く必要はあるのだが……。
野球界における絶対的な立ち位置
とはいえ、大谷フィーバーは何も日本だけでのことではなく、アメリカでも今や大谷は押しも押されもせぬ「MLBの顔」であることは確かだ。 2022年、ニューヨークの中心地であるタイムズ・スクエアには、大谷がパッケージの表紙を飾った野球ゲーム「MLB THE SHOW 22」の巨大広告が登場。大谷は『GQ』や『TIME』といった名だたる雑誌の表紙を飾り、2021年にはTIMEが選ぶ「世界で最も影響力のある100人」にも名を連ねた。2023年のWBCに出場したチェコ代表の選手たちは大会前に「対戦を楽しみにしている選手は誰か?」と聞かれ、全員が″Shohei Ohtani″と答えた。同年のMLBオールスターゲームのファン投票で、大谷はリーグ最多の得票数だった(日本からの投票も含まれているが)。そして同年12月、大谷はロサンゼルス・ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)という「スポーツ史上最高額」で契約を結んだ。 野球はサッカーほど世界的に普及しているスポーツではなく、野球が盛んな地域は主に北米と中南米の一部、そして東アジアに限定される。しかし、その限られた野球界において大谷は、今や世界の誰もが知る正真正銘のグローバルスターなのだ。
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