センバツ中止 「今後の人生のプラスに」 中京大中京、夏へ気持ち切り替え /愛知
<センバツ高校野球> 新型コロナウイルスの影響で、中止が決まった第92回選抜高校野球大会。中京大中京高(名古屋市昭和区)の野球部監督に2010年に就任し、監督として初のセンバツに向け準備を進めていた高橋源一郎監督(40)は「結果はしっかり受け止めている。選手たちにどう伝えるか一晩かけて考えたい」と唇をかみ締めた。【三浦研吾】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 同高は11日午後、記者会見を開いた。高橋監督は中止について「想定していた」とし、「今後の人生や夏に向け、これをプラスにしていきたい」と話した。 選手や保護者、OBらは複雑な思いを吐露した。中山礼都選手(2年)は同校OBの祖父と父が果たせなかった甲子園に向けて練習を重ねていた。無観客試合に向けた準備が発表された4日に「これで11日に中止が決定したら、子どもたちは精神的にきついと思う」と不安を口にしていた父慎也さん(44)。中止と聞き「一番ショックが大きい決定になった。夏に向けて気持ちを切り替えて取り組める子どもたちだと思うが、時間はかかるかも」と話した。慎也さんによると、中山選手は残念がっていたが「これからもやることは同じだ」と前向きだ。ただ、慎也さんは「夏の大会もできるのか」と今後の感染状況についても不安がった。 同校を2009年夏の優勝に導いた前監督で、現在は享栄高(名古屋市瑞穂区)で指導する大藤敏行監督(57)は「無観客で開催すると思っていたので、野球人としては残念」と話した。東日本大震災が発生した3月11日の決定となったことから、教え子でもある当時楽天の嶋基宏選手(現ヤクルト)が11年のプロ野球開幕時に行ったスピーチに触れ、「野球ができるだけでも幸せに思って、前を向いていくしかない」と全国の選手にエールを送った。その上で「この1週間、関係者が何とか球児の夢をかなえようと尽力してくれたことについては感謝だし、そのことは自分の選手たちにも伝えたい」と話した。