イスラエルのUNRWA活動禁止、安保理が懸念や非難…「ガザでの人道活動が著しく損なわれる」
【ニューヨーク=金子靖志】国連安全保障理事会は29日、イスラエル国会が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内での活動を禁じる法案を可決したことを受けて会合を開き、全15理事国が法案の可決に懸念や非難を表明した。戦闘が続くパレスチナ自治区ガザでUNRWAが人道支援を行っていることを踏まえたものだが、イスラエルは反発した。
国連で中東和平を担うトル・ウェネスランド特別調整官は会合の冒頭、UNRWAの活動にイスラエルとの調整が欠かせないことに触れ、法律が施行されれば「ガザでの人道活動が著しく損なわれる」と指摘。国連総会の決議に基づきUNRWAが設置されたことを踏まえ、イスラエルによる「一方的措置は国連を弱体化させ、国際法を後退させる恐れがある」と非難し、撤回を求めた。
イスラエルを軍事支援する米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、昨年10月のイスラム主義組織ハマスによるイスラエルへの奇襲にUNRWA職員が「一部関与していた事実は否定できない」とイスラエルを擁護しつつ、「UNRWAは重要な使命を果たしている」として法案可決に懸念を示した。各国からは法律が施行されれば「壊滅的な影響を与える」などと非難が相次いだ。
パレスチナのリヤド・マンスール国連大使は「イスラエルの政策は人道に対する残虐な犯罪だ」と非難。イスラエルのダニー・ダノン国連大使は、「UNRWAはテロリストの隠れみのとなっていたことが暴かれた。テロリストは排除する必要がある」と強調した。