文科省天下りあっせんは13年頃から組織的に実施 歴代次官も認識
文部科学省の再就職あっせん問題で、松野博一文科相は6日記者会見し、人事課OBを介した組織的な再就職のあっせんの仕組みについて調査結果を公表した。この人事課OBは2009年7月の退職以降、再就職あっせん活動を始め、文部科学省も退職者リストを提供するなど徐々に関与を強めていった結果、2013年頃までには両者が共同して再就職をあっせんするシステムが確立されていったという。松野文科相は「新しい制度になり人事課職員が再就職に関与できなくなったので、人事課にOBに頼らざるをえないという意識があった」などと話した。このシステムについては歴代の事務次官や文部科学審議官も認識していたとした。
文部科学省の調査結果によると、再就職のあっせん行為は、国家公務員法が改正される以前は文部科学省人事課で業務として行っていたが、2009年に天下りの規制が強化されたため、「職員が関与できなくなるので退職者に再就職のあっせんを行ってもらうしかない」との認識を持つようになったという。「既に離職している個人が後輩のために職を紹介すること自体は違法という認識はなかった」という。 こうして、2009年7月頃から人事課OBはボランティアとして斡旋業務を行うようになり、退職者リストの提供が行われていた。ただ、人事課長が認識しているものではなかったという。 2013年に人事課OBがボランティアで行っていたあっせん活動について、当時の再就職先から難色が示されたため、あっせん活動の安定的な実施が難しくなる事態が生じた。このため、人事課OBは再就職支援を続けるため、文科省の退職者が役員の大半を占める「公益財団法人文教協会」の参与(無報酬)に就き、同協会の火災保険を扱う保険代理店の顧問にも就任。週に2日程度顧問業を行いながら新たに設立した任意団体「文教フォーラム」で週3日、再就職のあっせん業務を行っていたとみられる。文教フォーラムの家賃などは文教協会が負担していた。 この体制を整えるための内部資料も会見では公表され、松野文科相は「文部科学省から出されている可能性が高い」などと話し、文科省の関与を匂わせた。 文教フォーラムの設立以降はさらに人事課OBと人事課の関係は密接になり、最近では人事課OBが求人情報を人事課に提供し、人事課がそれに応じて人材を提案するといったことも行われていた。 こうした組織的なあっせんについて、松野文科相は「国民の目から見ても極めて不自然で正すべきものと写っていると思う」などと話した。
文部科学省は今後、再就職等監視委員会の調査報告書に記載された37件を対象に再就職のあっせん行為の有無を調べるほか、現役の全職員約3000人に再就職のあっせん行為が過去になかったかの調査を行う。法改正以降に退職した全ての職員(523人)を対象に再就職のあっせんがなかったかも調べる。 2月下旬をめどに中間的なまとめを行い、3月末に最終報告を行うとした。