じつは「紅麹」よりも圧倒的にヤバい…大事故が起きていないのが不思議な「最近、増えている身近な食べ物」
小林製薬の紅麹サプリメント事件。原因が本当に紅麹なのかがわからない中で、マスコミ報道が過熱、紅麹という言葉だけが広まり、まったく関係のない麹味噌などの不買まで起きてしまった。 【写真】ヨーグルトで体調が悪化…じつは「日本人」にとっては意味がない8つの健康法 実際の犯人が判明するにはまだ時間はかかりそうだが、これを機会に、発酵=健康という単純な風潮も見直されると良いかと思う。「発酵生活」と呼び合い、非常にラフに自宅で発酵食品を作るし人が増えているからだ。自宅で作る発酵食品は、今まで大事故が起きていないのが不思議なくらい、管理が雑だ。
紅麹に罪はない
小林製薬の紅麹サプリメントが腎臓病を悪化させたという話が、なかなか収束しない。紅麹自体に問題はなく、小林製薬社製の紅麹原料を入手している企業173社に対して、厚生労働省が聞き取り調査を行い、過去に健康被害が起きた例は皆無であることが判明した。 紅麹は昔から味噌や醤油、酒などに広く使われてきた。健康被害があるのであれば、とっくに出ているはずで、問題は紅麹ではなく該当するサプリメントの何らかの成分か、あるいは被害そのものがなかった可能性がある。小林製薬によれば、サプリメントにより死亡したとされる5人のうち3人にはガンなどの既往症があったという。 単なる風評被害であれば、真偽の検証もせずに情報を流したマスコミや厚労省の責任は非常に重大になる。 もしかしたらサプリメントの製造過程で何らかの雑菌が混入、今回の事件を起こしたとも考えられる。そうだとしたら、製薬会社の厳密な衛生管理体制下でさえ、そうした事故が起きるということだ。発酵食品ブームで、自家製のみそやヨーグルトにハマる人が増えている個人が行う発酵食品の自作は危険を伴う自覚が必要だろう。
天然酵母の譲り合いは禁止すべし
自家製パンに天然酵母を使う作り方がある。果物や野菜には、種類ごとに特有の酵母(発酵菌)が繁殖している。レーズンが有名だが、りんごやイチゴといった果物、ナスやトマトなどの野菜にもそれぞれ性質の違う酵母が生息している。こうした酵母菌を単体で培養するのではなく、複数の菌株が混在した状態で培養したものを一般に天然酵母と呼ぶ。 天然酵母で生地を発酵させるとパンに独特の香りやもっちり感が出ておいしいが、問題は天然酵母を増やす時に雑菌が入る、もしくは他人から分けてもらった天然酵母、あるいは天然酵母ジュースだ。 天然酵母は殺菌した瓶に果物等の発酵させる材料と砂糖を入れ、数日、発酵させる。炭酸ガスが発生するため、密閉すると瓶が破裂することがある。そこで通気性を確保するのに瓶のふたをゆるめておくのだが、ここから雑菌の入ることがある。 大抵の場合、酵母菌の方が強いので、雑菌は死滅するが、毒素はそのまま残る。天然酵母自体は問題なくても、パン生地に混ぜてこねる時に手をよく洗っていない、こね台や台所が汚れていた、などで雑菌が混入することもある。 パンは焼くから大丈夫と思っても、食中毒菌は毒素を作り出し、それは熱でも分解しない。この毒素で食中毒が起きる。 天然酵母の食中毒で多いのが、他人からもらった酵母液を使って事故が起きるケースだ。発酵食品を自作する人たちは横つながりでサークルのように活動することがあり、酵母を分け合うことがある。この時、器を移す際に雑菌が入るのだ。 もらった酵母液でパンを焼いたら、その日の夜に腹痛と下痢が激しく寝込んだというネットの書き込みは、いくらでもある。酵母液をあげる方は善意かもしれないが、極めて危険なのでやめるべきだ。