じつは「紅麹」よりも圧倒的にヤバい…大事故が起きていないのが不思議な「最近、増えている身近な食べ物」
謎の発酵ジュースやヨーグルトは避けて
手でかき混ぜるのは極端だとしても、発酵ジュース、天然酵母の要領で発酵させた果物の溶液を水で薄めるかそのまま飲むジュースは、食中毒も危険だが、アルコールも危ない。天然酵母の発酵とはアルコール発酵だからだ。知らずに子供に飲ませたら大変だ。 発酵ジュースの一種に酵素ドリンクがあり、材料が複数で発酵期間が長いものをそう呼ぶらしい。時間が長ければ長いほど腐敗の可能性は高まるし、腐敗しない場合はアルコール分が上昇している。酒は腐りにくいのだ。 天然酵母にしても発酵ジュースにしても、おいしいことと体にいいかどうかは別問題。発酵食品に体のいいものは見つかっているが、必ずしも体に良いかと言えば、あくまで量や作り方、含まれる菌種によって変わる。 納豆は体によく、多く含まれる水溶性食物繊維は腸内環境を整えるが、だからといって食べ過ぎると水溶性食物繊維をエサにする酪酸菌が増え過ぎる。酪酸菌は腸の粘膜を分厚くし、大腸がんの抑制や抗炎症作用などもある良い菌だが、増え過ぎると反対に大腸がんを誘発する※。 納豆はプリン体も多いので、痛風の方はご用心。何事もほどほどに。 手作りも度を超すと工業製品よりもはるかにひどい健康被害を引き起こす。くれぐれも健康とおいしい味をごっちゃ混ぜにしないようにして欲しい。 ※「Gut bacteria identified in colorectal cancer patients promote tumourigenesis via butyrate secretion(結腸直腸がん患者で確認された腸内細菌は酪酸分泌を介して腫瘍形成を促進する)」(nature communications 2021年9月28日)
川口 友万(サイエンスライター)