青木拓磨のモータスポーツライフVol.16 「15年ぶりの日本人世界チャンピオン誕生、おめでとう!」
小椋選手出身のアジア・タレント・カップにも注目
天候不順となった第16戦の日本GPでは、レース直前の雨で、雨に濡れた路面に多くのライダーがレインタイヤを選択するところスリックタイヤをチョイスして出走しています。チーフメカニックのノーマン・ランクの後押しもあったようですが、こういう勝負強さが素晴らしいですね。 そして、タイトルを決めた第18戦タイのレースも決勝スタート直前の路面を濡らすほどではないが雨がたまに降る微妙なコンディション。序盤こそ出遅れたが、2位まで追い上げてラスト2周のところで降雨による赤旗終了となりました。 小椋選手のすごいところは、Moto2に上がってきてから顕著ですが、レースのスタートから終了まで、一発の速さではなく、レース全体を考えて、ブレることなく思い描いている走りを淡々とこなしているところです。再現性のあるセッティングとレースの進め方、それが彼の最大の武器だと思います。 小椋選手のタイトル獲得ですが、全日本ロードレース選手権への参戦未経験で、自身初のタイトルが今回の世界チャンピオンということになります。そう考えるとすごいですね。ロードレースデビュー直後にイデミツ・アジア・タレント・カップ(ATC)で走っており、ATC出身のライダーです。 ATC出身といえば、鳥羽海渡や佐々木歩夢、そして川﨑祥吾といった日本人ライダーをはじめ、これまでも多くのライダーを輩出してきました。2014年の初開催(当時はシェルアドバンス・アジア・タレント・カップ)から11年で、ついに世界チャンピオンが誕生したことになりますね。 さらに小椋選手は2025年シーズン、トラックハウス・レーシングからMotoGPクラスに昇格することとなります。今回の小椋選手の活躍がATCに参加するライダーたちの目標になったのは間違いありません。これからもATCから「第2の小椋選手」を目指して、後輩たちが世界で活躍し頑張ってくれることを期待したいですね。
青木 拓磨