プロ15年間で規定打席到達ゼロも…巨人に「不可欠な天才打者」は
打つだけでなく、足も大きな武器だ。6日の同戦では3点リードの4回に三ゴロがアウトと判定されたが、阿部慎之助監督のリクエストでリプレー検証の結果、一塁手・ソトのファーストミットが立岡にタッチできていなかったため、判定が覆ってセーフに。立岡が二盗を決めると、大城卓三の中前適時打で本塁に生還した。
逆境を乗り越えて放つ輝き
非凡な野球センスは誰もが認める。ドラフト2位で入団したソフトバンクから巨人にトレード移籍したのが12年6月。移籍直後にファームの守備で味方と交錯し、左肘靭帯断裂の大ケガを負い、肘の痛みにより右打席でバットを振れなくなり、9月に左打ちに転向した。 打撃を土台から作り直し、わずか3年足らずの15年に91試合出場で打率.304、16盗塁をマーク。並外れた練習量を積み重ねたが、頭で描くイメージを体で具現化するセンスは天才的だ。レギュラーをつかみかけたが、慢心はない。立岡は週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。 「91試合ですか。たったそれだけ、全然物足りないな、というのが昨年に対する正直な思いです。そう感じる一番の理由は、1年間フルで出場してこそレギュラーだと思いますし、長年、フルに近い試合数に出ている人たちと自分を比べてはダメ。確かにバッティング面では、3割(.304)、3ケタ安打(103安打)が残りましたけど、規定打席にも達していないですから(367打席※規定打席は443)。そもそも、ポジションを圧倒的な力で奪ったわけではないんです。故障者が出て、他の選手たちも本調子ではない中で、タイミングよく自分が使ってもらった、そこでポンポンとヒットが出た、という部分が大きい。今年は、やっぱりみんな目の色を変えてやっていると思いますし、むしろその中で勝ち抜いて試合に出たいという気持ちのほうが強いですね」 翌年は左わき腹の故障の影響で51試合出場にとどまり、その後も陽岱鋼、丸がFA移籍で加入、度重なる故障も重なり一軍定着できない。規定打席に到達したシーズンが1度もないまま15年の月日が流れたが、逆境を乗り越えて再び輝きを放っている。立岡が下位打線でチャンスメーク、ポイントゲッターの役割をまっとうすることで切れ目のない打線が実現している。チームに不可欠な存在だ。 写真=BBM
週刊ベースボール