【大学野球】先輩・宗山塁も「物おじしない」と称える明大・木本圭一 慶大相手に闘志
決勝アーチを左翼へ
【9月30日】東京六大学リーグ戦第3週 明大2-1慶大(明大2勝1分) ※延長10回 グレー地の「KEIO」のユニフォームを見ると、自然と感情が高ぶる。無理もない。 明大の3年生・木本圭一は桐蔭学園高の主将だった2021年夏、神奈川大会1回戦で慶應義塾高に惜敗(4対5)した。ノーシード同士の1回戦屈指の好カード。桐蔭学園高の夏の初戦敗退は、1982年以来の屈辱だった。 「明治に入学して、当時の慶應には当時の慶應義塾高の選手もいる。慶應には絶対、負けたくない気持ちでした」
1勝1分で迎えた3回戦。双方無得点で迎えた7回裏一死二塁から右中間への先制二塁打。9回裏に1対1に追いつかれたが、10回表、先頭打者・木本は左越えの決勝ソロ本塁打を放った。「あのカウント(1ボール1ストライク)で、真っすぐを待っていました。高めを打つのは得意なので」。見逃せばボール球ではあったが、左翼スタンドへうまく運んだ。明大は2対1で勝利し、2勝1分で、連勝した東大戦に続く勝ち点2をマークした。 木本は今春、打率.319で初のベストナイン(二塁手部門)を受賞したが、今秋はこの試合を迎えるまで14打数2安打、打率.143と苦しんでいた。二遊間を組む主将・宗山塁(4年・広陵高)からの「(体が)前に突っ込んでいる」との助言が参考になったという。 「宗山さんのおかげです。落ち着いていて、カッコいい先輩。試合中、守備中も会話をしたり、打撃も教えてくれる。尊敬しています」 宗山は「物おじしないから、自分の力を出せる。ゲームに強く、流れを変える一本を出してくれる。助かります」と、後輩を称える。
田中武宏監督も信頼する選手の一人である。不動の六番に起用する理由を明かす。 「上位を打たせたいですが、良さが生きるのは、この打順です。左、右投手で得手不得手がない。重要なところを任せています」 身近にライバルがいる。桐蔭学園高時代に二遊間を組んだ法大・松下歩叶だ。中学時代に在籍した静岡裾野シニア時代からのチームメートで、松下は今春、昨秋(二塁手)に続いてベストナイン(三塁手)を受賞した。今夏は大学日本代表でプレーし、秋の立大4回戦ではサヨナラ本塁打を放った。「松下の結果は気にしています」。木本は飛び切りの負けず嫌い。明大での実績と存在感、高校時代のキャリアを見ても、来年の明大の主将候補であることは明らかである。 攻守の大黒柱である主将・宗山を支える立場になれれば、明大はもっと強くなる。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール