センバツ2024 広陵・中国大会振り返り 投手編 エース、登板ごとに風格 /広島
◇1年生、決勝で圧巻の投球 第96回選抜高校野球大会に、広陵が3年連続の出場を決めた。センバツでは優勝3回を誇る「春の広陵」は、2003年以来21年ぶりとなる頂点を目指す。大会史上初の3連覇を果たした中国地区大会を振り返り、広陵の強さの秘密を探る。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 昨秋の県大会は2年連続、中国大会は3年連続優勝で「向かうところ敵なし」を印象づけた。だが簡単に勝ち上がったわけではない。チャンスを確実にものにする勝負強さと持ち前の粘りで一つずつ勝利を重ねてきた。 チームの中心は、夏の甲子園でもバッテリーを組んだ高尾響投手(2年)と只石貫太捕手(同)。1年春から背番号1を背負う高尾投手は中国大会3試合に先発した。下関国際(山口)との準々決勝では相手に三塁を踏ませず、散発3安打完封。自ら本塁打も放ち、投打で存在感を見せた。宇部鴻城(同)との準決勝は4失点するも、打線の援護を受け、170球を一人で投げ抜いた。 最速148キロの直球が持ち味。中井哲之監督は「練習中に後ろから見ていると、ボールのスピン量(回転数)のレベルが違う」と舌を巻く。「試合では感情を表に出さず、動じない」(中井監督)と、エースの風格も十分だ。高尾投手は「自分のピッチングができることが一番。相手にのまれないように、バッター陣にも良い流れを持っていけるように投げる」と真っすぐに前を見据える。 高尾投手に代わり、決勝の創志学園(岡山)戦で先発のマウンドに上がったのは1年の堀田昂佑投手。登板は前夜に知らされたというが、強気の投球が光った。四回にけん制悪送球もあって先制を許すも、すぐに気持ちを切り替える。九回には先頭打者に四球を与えたが、主将の只石捕手からの「大丈夫。思いきり投げろ」という言葉に勇気づけられ、終わってみれば1失点完投。中井監督が「あんなピッチングは見たことがない」と目を丸くするほど圧巻の投球を見せた。 中国大会後、練習中に高尾投手と堀田投手は互いにアドバイスをして高め合っているという。頼もしい1年生の登場がチームにいい刺激を与えている。【武市智菜実】