最近、日没後の東の空に輝くひときわ明るい星 その正体は?
このところ夜のとばりが下りた頃に、東の空から昇ってくる一粒のきらめきがある。すっかり暗くなった夜空にひときわ明るく輝き、ひと晩じゅう天上に君臨する星だ。その正体が何か、知っているだろうか。 【画像】12月8日に「衝」を迎える木星 「惑星の王」の異名をもつ木星である。太陽系最大の惑星で、今はマイナス2.8等の明るさで日没直後の東の空に少しずつ高度を増しながら光っている。そして、まもなく私たちに最も大きく、明るく、美しい姿を見せてくれる。 ■木星が「衝」となる この巨大惑星は、12月8日に天文学で「衝(しょう)」と呼ばれる瞬間を迎える。衝とは、太陽系の天体が地球をはさんで太陽とちょうど正反対の位置関係にくることをいい、この日、太陽・地球・木星は一時的にまっすぐ並ぶ。これは地球の公転周期が木星より短いために起こる現象だ。 衝の時期は、木星と地球の距離が6億1200万kmまで近づき、太陽光を反射して光っている面を正面から見ることができる。 衝の位置にくるまで1カ月を切った木星は今、非常に明るさを増している。衝の前後1カ月間は、小型望遠鏡や双眼鏡で木星を観察するまたとない好機だ。 ■満月ならぬ「満木星」 衝は、月なら「満月」に相当する。月は常に太陽に面した側(半面)が光っているが、位置関係によって地球上の私たちからは満ち欠けしているように見える。木星も同じで、地球からの見え方は位置関係で変わる。衝の瞬間は100%の「満木星」となり、明るく見える。 衝の時期の木星は、日の入りの頃に東の空から昇り、真夜中過ぎに南中して、日の出と入れ替わるように西の空に沈む。つまり、大きく明るいだけでなく、夜通し空に輝き続けるのだ。 木星の公転周期は約12年、太陽からは約7億7900万km離れている。約1年で公転する地球と太陽の距離は約1億5000万kmなため、木星が衝を迎える周期、すなわち地球が木星の12倍速く移動して「追いつく」までの周期(会合周期)は、約13カ月となる。