新橋・SL広場にも超高層ビル 進む東京の再開発計画、その理由は?
新橋駅西口の再開発事業を検討する新橋駅西口地区まちづくり協議会は先月11月5日の臨時総会で、SL広場やニュー新橋ビル、学校跡地を含むエリア、約3haの再開発計画を2015・16年度中にまとめ、2023から24年ごろに完成することを目指すと発表した。新橋駅西口のSL広場といえば街頭インタビューの聖地であり、ニュー新橋ビルは赤提灯をつけた居酒屋やさまざま飲食店が入居し、サラリーマンに愛される猥雑な雰囲気が特徴的なビルだ。この再開発のニュースに耳にし、寂しさを覚えた人も少なくはないだろう。
東京の再開発・開発はなぜ進む?
こうした再開発・開発の駆動力となっているのが、東京五輪の開催決定で急速に動き始めた、鉄道の新設を中心とした交通インフラの整備と、容積率を割り増しする規制緩和だ。 鉄道の新設では、京急と京成の両電鉄を介して羽田空港と成田空港を1時間弱で結ぶことになる都心直結線(浅草線短絡新線)と、JR線の上野よりも北側を走る常磐線など3線が東京駅・品川駅を経由し、東海道線の横浜方面へと接続することを可能にする上野東京ライン(東北縦貫線)が代表的である。 これらが実現すれば、両空港および東北方面から東京駅へのアクセスが飛躍的に向上し、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)などでは今後更にオフィス需要が高まるものと予想される。大手町では2000年以降、戦後に建てられたオフィスビルの再開発が断続的に行われてきたが、今後も大手町1丁目第3地区再開発(2016年竣工予定)、大手町2丁目地区再開発(2018年竣工予定)など大規模な再開発が続く。 一方で都心直結線と上野東京ラインの恩恵を受け、大丸有を脅かす存在となりそうなのが品川だ。品川駅がリニア中央新幹線の始発駅となることや、品川駅-田町駅間に山手線の新駅が誕生すること、そしてその新駅周辺に位置するJR東日本の車輌基地の西側半分が再開発され、国際的ビジネス街を形成することなどが、その理由である。新駅周辺の再開発は約13haを敷地としており、これは六本木ヒルズや東京ミッドタウンを凌ぐ規模である。品川は、国際線発着枠を急増させた羽田空港からのアクセスも良く、オフィス街としてのポテンシャルは高い。 交通インフラの整備はこうした鉄道だけではない。虎ノ門ヒルズの下層を通り新橋まで延伸された環状2号線は、五輪までに選手村や競技場が建設されることとなる湾岸部を通り豊洲まで延伸されることになっている。すでに湾岸部では超高層マンションの開発が相次いでおり、今後はさらに地価上昇が予想される。1980年代からの都の懸案であった湾岸地域の開発が、五輪開催決定と環状2号線の延伸、さらに築地市場の豊洲移転などを契機として急激に進展するはずだ。