人気解説者の林陵平がラ・リーガ歴代最強イレブンを選抜!「ボールキープで彼の右に出る者はいない」と評したのは?
得点源として期待するのは、メッシではなくベリンガム
このチームにおけるキーマンはベリンガムです。中盤で守備の強度を保ちながら、攻撃時にはボックス内に侵入してゴールを奪える。攻守の要としての役割を期待しています。今シーズンのマドリーでの活躍には正直驚いています。毎試合のようにゴールを決めていますし、このままラ・リーガの得点王になる可能性は十分にありますね。 実はこのチームの得点源として考えているのも、メッシではなくベリンガムです。もちろんメッシには右サイドからカットインしてフィニッシュまで持っていく役割も期待しています。ですがそれ以上に、メッシが右からチャンスメークして、中央でベリンガムが合わせるという枠組みが、得点パターンとしてハマりそうな気がしますね。 ベリンガムと並ぶもうひとりのキーマンがジダンです。ボールキープという点で、彼の右に出る者はいません。ビルドアップ時に下りてパスを受けて、華麗なターンで相手をかわし、ドリブルで運ぶ役割を担ってもらいたいですね。センターフォワードのベンゼマは、ひとりで何役もこなせるアタッカー。自らゴールを決めるのはもちろん、ポストプレーでのチャンスメークといった黒子としての動きでも大きく貢献してくれると思います。 個人的にこだわりを持って選んだのが、左ウイングのグリーズマンです。派手さで言うと、メッシやクリスティアーノ・ロナウドといったスターの名前が挙がりますが、11人の組織として考えると、グリーズマンは不可欠な存在。アタッカーとしての能力は言わずもがなで、サッカーIQも高いですし、守備も献身的です。グリーズマンが左から内に入って、その空いた大外のレーンをロベカルがオーバーラップすれば、破壊力十分な攻撃が展開できるでしょう。 ベンチに置いておきたいのは、まずダニエウ・アウベス。プジョールとアジャラのセンターバックがうまく機能しなかった場合、ラモスを中央に移すケースが考えられます。右サイドバックにダニエウ・アウベスを入れれば、メッシとのコンビネーションを活かし、攻撃面で大きな違いを作ってくれるはずです。逆に守備を固めたいときは、クロード・マケレレを投入してカゼミーロとダブルボランチを組ませれば、ボール回収において圧倒的な優位性を発揮するでしょう。 前線の切り札として真っ先に名前が浮かぶのがロナウジーニョ。攻撃が停滞している展開で投入して、ピッチに魔法をかけてほしいですね。C・ロナウドはベンチに置かざるを得ないでしょう。メッシとの共存を考えたうえでの苦渋の決断です。ふたりを同時に起用すると、守備が全く機能しなくなる危険性が高いですからね。それに途中出場という点では、メッシよりもC・ロナウドのほうが相手に脅威を与えられる気がします。それに加えて“元祖”ロナウドがジョーカーとして出てきたら、誰も止められないでしょうね。 今回の依頼では「とっておきの控え」は5人までと言われていますが、もうひとりどうしても加えたい選手がいます。ベティスで活躍したブラジル人ドリブラーのデニウソンです。ちょうど海外サッカーを見始めた頃にラ・リーガでプレーしていたんですが、果敢にドリブルで仕掛けるプレーがいまでも脳裏に焼き付いています。ボールを持つとつねにワクワクさせてくれるウイングでしたね。 このチームなら、ラ・リーガはもちろん、チャンピオンズリーグ制覇も成し遂げてくれるでしょう。 [プロフィール] 林陵平(解説者/元東京V、柏など) 186cm・80kgの大型ストライカーとして鳴らした元Jリーガー。ヴェルディ・アカデミーと明治大学を経て2009年に東京ヴェルディとプロ契約し、翌年から柏、山形、水戸、ヴェルディ、町田、群馬を渡り歩き、2020年シーズンをもって現役引退した。Jリーグ通算成績は300試合・67得点。自他ともに認める「欧州サッカーマニア」で、海外選手のゴールセレブレーションを取り入れて話題にもなった。現在もあらゆる動画やニュースに目を配り、X(@Ryohei_h11)では海外ネタを日々つぶやき中。21年から23年までは東京大学ア式蹴球部の監督を務めた。24年2月には著書『林陵平のサッカー観戦術』(平凡社)を出版。最近は欧州サッカーの解説者としても人気を博す。1986年9月8日生まれ、東京都出身。 取材・構成●尾池史也(ワールドサッカーダイジェスト編集部) ※『ワールドサッカーダイジェスト』2024年1月18日号から転載・加筆。