「令和ロマンとバッテリィズ」M-1衣装の戦略的な凄み…ビジネスマンにも役立つ「見られ方」コントロール
■「何者であるか」を2秒で表現する印象術 ビジネスシーンの身だしなみで「清潔感の大切さ」は語られますが、パブリックイメージについて触れられる機会は多くありません。パブリックイメージとは、暗黙の了解として誰もが抱く「イメージの集合」を言います。くるまさんの場合、「ヒール役」のパブリックイメージを、肩の反り返ったブラックジャケットとオールバックの髪型で表現し、自分の見られ方をコントロールしていました。
同様にビジネスマンも、「何者であるか」を2秒で表現する手段としてパブリックイメージを活用できるのです。とくに業界をまたいだ転職をするとき、新たな会社でプロフェッショナルな雰囲気が身に付くのは、それなりの実務経験を積んだ後になるはず。ですがそのイメージを先取りすることができたら、結果的に「仕事のパフォーマンスも向上する」のではないでしょうか。 たとえば外資系の生命保険マンのパブリックイメージといえば、ネイビースーツをピシッと着こなしているというもの。業界にお勤めの方からうかがう限り、これは最近の実情とは異なるのですが、それでも世間一般の方が「言われてみると確かに」と思い描くイメージですよね。
つまり転職して日が浅い方も、パブリックイメージを活用することで、ベテランのような雰囲気を醸し出すことも不可能ではありません。いわゆる形から入る戦略ですが、M-1のように、競合が切磋琢磨しているビジネス環境においては、このちょっとした差が勝敗を分けることも有りうるのです。 そういう意味では、2組目に登場したヤーレンズの点数が伸び悩んだことも、パブリックイメージが関係していると私は感じています。 ■ヤーレンズの点数が伸び悩んだ衣装的要素
昨年、最終決戦で令和ロマンと4対3という接戦を繰り広げたヤーレンズ。今年は思った以上に点数が伸びませんでしたが、一視聴者目線として言えば「ヤーレンズのパフォーマンスは、点数以上に面白い」という体感だったのです。そして、このモヤモヤを拭ってくれたのは、審査員のコメントにありました。 とくに初代M-1チャンピオンの中川家、礼二さんの「やっぱり皆も言うてたように、なんか中盤くらいから爆発力がなかったかな、去年を知ってるだけに、やっぱりちょっと、違和感があった」というコメントが印象的でした。