肉食の外来魚「ブラウントラウト」が猛威 岐阜・飛騨市で駆除つづく
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やっかいな生き物の話題です。繁殖力が極めて強い“肉食外来魚”が川を占拠し、深刻な問題となっています。 岐阜県飛騨市を流れる小鳥川。今月6日、雪が降る中、地元の漁協組合員5人が外来生物の駆除を行いました。それはヨーロッパ原産でサケ科の肉食外来魚ブラウントラウトです。 体長60センチを超える巨大な肉食外来魚。このブラウントラウトがやっかいなのは、成長が早く、ほかの魚を食べてしまうほか、繁殖力が極めて強いこと。日本の侵略的外来種ワースト100に数えられます。 飛騨市の漁協組合員らの心配事は… 宮川下流漁業協同組合 森下真次 組合長 「他の魚種を食べるということで、元々いたイワナとかを食べるので食害を心配」 小鳥川では、釣り堀用に養殖していたブラウントラウトが20年前の台風で養殖場から流れて以降、大量に繁殖したとみられ、イワナやヤマメなどの在来の魚を食べたり、餌を奪ったりするなど生態系を破壊しているのです。 漁協は毎年、在来種を守るべく、ブラウントラウトが産卵期を控え、川の水量が少なくなるこの時期に電気ショックによる駆除を行っています。 この日、川で確認されたイワナは24匹、ヤマメが16匹だったのに対し、なんとブラウントラウトは150匹が捕獲されました。 こうした状況に専門家は… 岐阜大学 地域科学部 向井貴彦 教授 「繁殖しているのは間違いなくて、半日で150匹獲れるというのは、かなり密度としては多い。いろんなところで養殖しているから、どこでも川で定着して増え始めるリスクはある」 生態系への深刻な影響が懸念されるブラウントラウトですが、有効活用するところも。 長野県では、ブラウントラウトとニジマスを交配させて養殖魚「信州サーモン」を開発。アメリカのバイデン大統領がおととし来日した際の夕食会やG7の外相会合でも振舞われました。 岐阜大学 地域科学部 向井貴彦 教授 「魚は乱獲するといなくなると言われるが、全部取り尽くすのは難しい。外来種問題はどれもつきまとう話で、根絶できない限りは(元の小鳥川を)取り戻せないかも知れない」 飛騨市を流れる小鳥川のブラウントラウト。根絶に至る手立ては見つかっておらず、漁協は今後も地道な駆除作業を続けていく予定です。 宮川下流漁業協同組合 森下真次 組合長 「ブラウントラウトが釣れた時には、川へ戻すことなく処分してほしい。ほかの河川とか、この河川には放流してほしくない」
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