東京をディスる地方移住者...「生活の質向上アピール」の裏にあるマウント思考
SNS上で繰り広げられる「マウンティング合戦」。直接的なものから、自虐に見せかけてさりげなく立場の高さや生活の充実ぶりを匂わせる「ステルスマウンティング」まで、さまざまな事例が日々観測されている。 本稿では、3万以上の事例を収集・分析してきたマウンティング研究家がその知見をまとめた『人生が整うマウンティング大全』より、物質的な価値観から自由になった様を発信することで自身の精神的豊かさをそれとなくアピールする「達観マウント」から一部をご紹介する。 ※本稿はマウンティングポリス(著)『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)を一部抜粋・編集したものです。
達観マウントとは?
物質的な価値観から脱却し、達観の境地に至ったことをアピールすることで、自身の精神的優位性をアピールする行為を「達観マウント」と呼ぶ。 「達観マウント」を展開する人の多くは、「自分はすべて知っているぞ」と言わんばかりに世の中を俯瞰した感を見せつけ、冷笑的で悟った風の発言をしたがる傾向がある。 しかし、実際には「達観した賢者な自分を認めてほしい」という欲求が透けて見えることが多く、単に承認に飢えているだけのケースも少なくない。 今回は「達観マウント」の中から「質素マウント」「地方移住マウント」「屋久杉マウント」について取り上げる。
質素マウント
・上場企業の経営者だった頃は接待漬けで贅沢はやり尽くしたけど、結局、ご飯と味噌汁が一番のご馳走だと思うんだよね ▶上場企業の経営者だった過去をさりげなく示しながら、結局は質素な生活が一番の贅沢と思うに至ったことをアピールする ・服はシンプルなデザインが好きで、高価なブランド品は買いません。お金をかけずにおしゃれを楽しみたいですね ▶モノを持つことの虚しさに気づき、今は最低限のモノしか持たないようにしていると述べ、物欲から解放された自分の姿を強調する ・休日は家で瞑想をしたり、ヨガをしたりしています。精神的な充実を求めることがここ最近の私の志向ですね ▶物質的な豊かさよりも精神的な充足を重視する姿勢を見せ、自分がワンランク上の境地に到達したことを周囲に見せつける 【解説】質素な生活を送っていることを強調し、「慎ましやかな自分」を演出することによって、ワンランク上の精神的な豊かさを享受していることをアピールするマウント。 正反対の概念とされる「キラキラマウンティング」よりも傲慢で不遜に見える場合がある(例:「質素な朝ごはんが好き」とイクラをのせたご飯の写真をインスタにアップ)。 (補足)「質素マウント」を展開する人の多くは、「吉野家の牛丼が食べられれば、僕はそれだけで幸せ」「今日もシンプルな食事を楽しんでいます」などと語り、自身が質素な生活を送っていることをSNSなどで自慢げに投稿する傾向がある。 また、所有するモノの少なさを強調し、「ミニマリスト」であることを誇らしげに語りがちである。 いずれの場合においても、「質素な生活」とは相容れない上から目線の「マウント感」が醸し出されていることが少なくない。