水素感知する新たなセンサー開発 コアシステムジャパン「脱炭素社会に必要不可欠」
福島県いわき市に支店を置くコアシステムジャパン(東京都八王子市)は光ファイバーを使って水素を感知する新たなセンサーを開発した。水素に反応する膜を光ファイバーに巻き、水素が触れると光が変化するよう工夫した。発火しやすい水素を安全に利用するためにセンサーは必要不可欠で、同社は今後、県内企業との連携を探り安全・安心な水素関連事業の展開を目指す。 ガラスでできた細い光ファイバーに光を通すと周囲に水素があった場合、光ファイバーに巻かれた膜が反応する。光の強さが変化するため無色無臭の水素があるかどうか分かる仕組みだ。特許を取得した。 燃焼時に二酸化炭素を出さない水素は次世代エネルギーとして期待されているが、同社によると空気中の濃度が高まった場合、静電気などわずかなきっかけで発火する危険がある。水素を安全に利用するためには外部に漏らさず万が一漏れてしまっても早期に発見できる態勢が不可欠となる。
従来は電気センサーが一般的で、水素がセンサーに触れた場合に電流の状況が変化したかどうかを捉えて感知する。ただ、水素は引火しやすいため、電気で発火しないよう仕上げることが求められていた。これまでも光ファイバーを使ったセンサーはあったが、光の変化を捉えるなどの仕組みが複雑で導入コストが高くなる傾向にあった。新たに開発したセンサーは水素が直接電気に触れず、光のみが触れるため安全性が向上した。センサーの構造を単純化させることで低コスト化も実現した。 センサーが反応する速さは感知から最短で約1・5秒。水素漏れを早期に発見できる。光源には発光ダイオード(LED)を採用して市販の乾電池を使うことができる。 同社開発部生産管理課の長尾裕司課長(26)は「脱炭素社会に必要不可欠な技術だ。水素社会実現の先駆けの地を目指す県内で安全で低価格なセンサーの製品化に取り組んでいきたい」と語った。