昼は裁判官、夜はドローンハンター 兵役免除のウクライナ判事が武器を取る理由とは
ウクライナの首都キーウ郊外で民事事件や刑事事件の判決を下す日々を送る裁判官、ウラジスラフ・ツクロフさん。ひとたび仕事を終えると法服から防弾チョッキに着替えてサーチライトで空を照らし、ボランティア防空部隊としてロシアのドローンを捜索している。 裁判官は徴兵を免除されているが、戦闘が激化する中で娘たちが国にとどまることを選択したため、部隊への参加を決めたという。 「キーウに住む子どもたちを守っている。長女は侵攻当初、勤務先の外国から帰国した。末娘は国内の高等教育機関に進学。父親として彼女たちを守らなければ。私の家族はウクライナを選んだ」 ツクロフさんの所属する部隊は2022年2月、元最高裁判事が設立した。 ロシア軍は今も、ウクライナ各地への攻撃を続けている。標的としているのは、電力網などの重要インフラだ。 「ドローンやミサイルが飛来することを、面白いとは言い難い。アドレナリンが出て力が湧き上がるのを感じるが、面白さとは違う」 領土防衛部隊はツクロフさんのような志願兵や新兵で構成されることが多く、ウクライナ軍にとってロシアとの戦争に欠かせない存在だ。 ツクロフさんの仕事は、昼間も続いている。 「刑事訴訟について言えば、弾薬・武器・爆発物の違法保管の件数は増えている。家庭内暴力も残念ながら増加している」 ストレスの多い日々や眠れない夜があっても、防空部隊の仲間には一緒に戦う「共通言語」があると語った。