青木裕子さん「アゲハ蝶の幼虫を飼っています」小学校受験にも役立つ“体験”って?|VERY
家族で蛍観賞に出かけたホテル椿山荘東京にて(写真/青木裕子さん提供)
親の前のめりには要注意「待つ」ことも大事
──青木さんの普段の暮らしが垣間見えるエッセイもこの本の魅力です。お子さんが小さいころはラップの芯や食材の入っていた透明パックを「工作か何かに使えそう」と保管し続けて部屋に山積みに、というエピソードに、共感しつつも思わず笑ってしまいました。 いまだにトイレットペーパーの芯は捨てずに取っておくくせがあります!振り返ってみると、私が前のめりになりすぎてしまったと思うエピソードはほかにも。親子で高尾山から山登りを始めて、おととしの夏には家族で富士登山もしましたが、張り切って「次は違う山に挑戦してみない?」と提案したら、子どもからは「高尾山のほうがいい」と言われてしまい……。親が先回りせず、待つことも必要なのですよね。潮干狩りに行って「なんで潮が引くのだろう?お月様と関係しているのかな?」なんて子どもに問いかけると、それは単なる理科の授業になってしまう。子ども自ら「なんでだろうね」と聞いてくるまで、待ちたいと改めて思いました。 ──珍しい経験や初めての体験にも「楽しかった」「面白かった」だけで終わってしまうなど、お子さんの語彙力不足に悩んでいる人もいるかと思います。青木さんならどんな声がけをしますか? 大人だって「楽しかったー」「おいしい!」で済ませることが多いですよね。私も夫と「アレが」「ソレが」で会話してしまうことも多いです(笑)。子どもの語彙を増やしたいのであれば、大人も意識していろんな言葉を使って会話する必要があるかもしれません。感想を聞き出すのではなくて、「ママはこんなふうに思ったよ」と話すことから始めようと意識しているところです。なかなかできないのですが。この本に寄稿してくださった、中学受験専門塾「スタジオキャンパス」の矢野耕平先生から聞いた話ですが、家が雀荘を経営されている生徒さんの語彙力が非常に高かったということがあったそうなんです。「日ごろからたくさん大人の会話が耳に入る環境だったので、自然と語彙が増えたのではないか」と矢野先生はおっしゃっていました。親以外の大人と話す機会があると、格段に会話の力がつくことがあるようです。机に座って作文を書かせて「いろんな表現を使ってね」と指示しても、すぐに子どもは勉強がイヤになる気がします。それよりも習い事の先生や友達の親など、大人との会話を通して、じっくりと自然に国語に触れていってほしいと思います。