「買ったドライバーが真っすぐ飛ばない」は当たり前!? 「筆下ろしラウンド」での注意点とやっておくべき調整とは?
筆下ろしラウンドでは完全に「初めまして」のクラブのつもりで、打出し方向と弾道の高さにある「空中の窓」をイメージして打っていきます。スイングの形や理屈ではなく、直感的・感覚的に”打つだけ”です。 「試打して買ったんだから真っすぐ飛んでよ」、「前のクラブよりも飛ばすぞ」とは決して考えず、あくまでクラブの声を聞くつもりでいましょう。「どんな力感やタイミングならナイスショットになるのか?」という意識を持ってショットします。 「GT3」は雨の中でもボールが滑らず、イメージどおりの高さと球のつかまりが得られました。試打していた時はロフト10度か11度かで迷っていましたが、どちらも同じくらいのスピン量だったため、11度を選んだことが成功したようです。 ちなみにツアープロが練習で新しいクラブ打っていても、試合ではテスト中として使わないケースがよくあります。どんなクラブでも使いこなせるプロでさえ、練習ラウンドで新しいクラブと会話しながら、徐々に安心感を高める作業を行なっているのです。
カチャカチャを調整しながらラウンドしてみるべき
競技ではラウンド中に可変スリーブで調整したりシャフトを替えるのはルール違反ですが、購入クラブの慣らし期間は大いにいじってみるべきです。 「ショップでの試打の時は調整しなくても合っていたのに……」とは考えないでください。クラブの購入前と購入後ではスイングの出力やスピードが違ったり、弾道やミスの内容も微妙に変わる可能性があるからです。
極端な話、試打クラブと購入クラブのスペックが同じでも「自分が別人」になってしまうぶん、シャフトのしなり方やヘッドの重さの感じ方、フェースの返り方なども変わるのです。 昔のクラブはシャフトの向きやロフトを変えることも、ヘッドの重心位置や重さを変えることもできなかったので、「試打した時と違う」と泣いたゴルファーがたくさんいました。 でも現代のドライバーは可変スリーブ一つでロフト角やライ角度、フェース向きも変えられますし、シャフトも簡単に交換できます。ヘッドウエートも交換できるので、自分のクセに合わせたポジションを探すことも簡単です。 じっくり選んだ購入クラブを「自分仕様」に仕上げるには、慣らしラウンドを設け、場合によってはいろいろといじってみましょう。そうして徐々にコースでの自分とクラブを擦り合わせていく作業を行なってみて下さい。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。
猿場トール