クマ出没激増で「緊急事態」昨年の12倍 通学路に出没、学校には爆竹配備「出合うと対策限られる」
京都府南丹市でクマの出没がさらに増え、通学路にも現れるなど、学校にも影響が及んでいる。殿田中学校(日吉町)は生徒の自転車通学をバスに切り替えた。警戒のため鳴らせるように、市内全校に爆竹を配備する対策も始めた。南丹市教育委員会は「出合ってしまえば対応策は限られる。遭遇しないための工夫を進める」とする。 【写真】住民に被害も。行政が設置した「おり」はこちら 市内では本年度の出没が10月29日までに203件で、前年同期の12倍に。美山、日吉町を中心に集落内でも頻繁に確認されている。 10月16日朝、同町殿田で通学路を歩いていた殿田小学校児童がクマを目撃。21日夕には同小敷地内の給食調理場近くでも1頭が確認された。 南丹市農山村振興課によると、クマが現れるのは、冬眠前に餌を求める10月下旬~11月がピーク。今年は山のドングリが不作で、人里に下りてくることが常態化している。当面は「クマが近くにいるものと考えて警戒する必要がある」とする。 そこで殿田中学校は10月中旬、志和賀や五ケ荘から自転車で通う生徒13人について、例年11月~翌年3月に限るバス通学を前倒しして始めた。学区全域で出没が止まらない中、安全確保を図る。 南丹市教委は市内全校にクマ対策の強化を促し、爆竹を配布。出没状況に応じて教師が近隣を見回る際に鳴らせば、聞こえる範囲に万一クマがいた場合、遠ざける効果に期待する。東北地方の学校では使用例があるという。 山歩きの校外学習を見直す学校もある。家庭には外遊びの注意を呼びかけるなど、リスクを減らそうとしている。國府常芳教育長は「緊急事態。被害が出てからでは遅く、危機意識を高めたい」と述べた。