阪南大高が大阪桐蔭を破り3大会ぶりの全国へ!急に出番のMF瀬尾が大仕事
6月8日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選の中央トーナメント準決勝がJグリーン堺S1で行われ、第2試合では阪南大高が大阪桐蔭に2-0で勝利し、決勝進出を決めるとともに全国大会への切符を獲得した。 【フォトギャラリー】関大一 vs 興國 2021年のインターハイ福井大会ではFW鈴木章斗(湘南ベルマーレ)を擁し3回戦まで進出した阪南大高。一方、大阪桐蔭も主将のDF小林柾輝(桐蔭横浜大)を中心に全員サッカーで3回戦まで勝ち上がり、全国の舞台で躍動した。3大会ぶりの全国を目指す両チームが激突した。 「内容が酷すぎて、酷い内容で最高な結果で帰ってきたなと。こっちが準備してきたことが全部逆手の方向に出てしまった」 濱田豪監督が前半をそう振り返ったように、阪南大高は入りから狙い通りのサッカーができなかった。相手の5バックを警戒し、ボランチ起用の多いMF福本一太(3年)を1.5列目に配置し中央をこじ開ける狙いだった。しかし大阪桐蔭の永野悦次郎監督は運動量が豊富なFW30三村陸人(2年)とMF29岡澤楓真(2年)の2人をBチームから抜擢し、この試合に先発させる奇策を打ってきた。さらに最終ラインと中盤がコンパクトな陣形をとってきたことにより阪南大高は中央からの攻略が難しくなった。 序盤から優勢に試合を進めた大阪桐蔭は14分、中盤で得たFKをFW13小松和史(2年)が直接狙うと、風に乗ったボールがGKの頭上を越え左ポストを直撃。内側に跳ね返ったボールは惜しくもラインを割らず。23分には左サイドのFKから小松が鋭いクロスを供給すると、走り込んだFW10久瀬葵(3年)が頭で合わせる。しかしこのシュートはGK1沖見駿介(3年)のファインセーブに止められてしまった。 すると、阪南大高が早くも動く。24分にMF16瀬尾優斗(2年)をトップ下に投入し、福本をボランチに下げた。するとこの濱田監督の一手が功を奏し、流れは阪南大高へ。福本が守備面に好影響を与えると、「良くも悪くも常に淡々としている」と指揮官が評する瀬尾は急な投入に動じる素振りを見せず試合に入り、前への推進力でチームを活気づけた。 そして迎えた28分、右サイドからの落としを福本がトリッキーにヒールで前方に送ると、FW10弓場潤哉(3年)がDF2人を引き付けながら縦に運んで折り返す。「(二人に囲まれていたけど弓場なら)出してくれると思って」とニアポストに走り込んだ瀬尾がこのパスをゴール左に右足で流し込みゴールネットを揺らした。 瀬尾のゴールで先制した阪南大高が1点リードで試合を折り返すと、後半は序盤からセットプレーを中心に相手ゴールに迫る。それでも大阪桐蔭がここを無失点で切り抜けると、45分に2枚替え。ここから終盤にかけて攻撃のギアを上げるため、普段はスタメンのFW11松崎龍之介(3年)とFW14木虎壮市(3年)をこのタイミングで投入した。 しかし、次もスコアを動かしたのは阪南大高。53分、福本が中盤でボールを奪ってから攻撃を展開すると、福本のパスからMF14伊藤成康(2年)が左サイドを突破。伊藤が中に入れたボールに瀬尾がスライディングで合わせると、これはGKに弾かれるも、詰めていたMF13柏大輝(3年)が押し込んで貴重な追加点をゲットした。 2点にリードを広げた阪南大高。その後は危なげなく時計の針を進めると、そのまま2-0で逃げ切り。70分を戦い抜き、歓喜の瞬間を迎えた。 試合の入りで後手を踏みながら、早めに手を打った濱田監督と、その意図を汲みプレーで状況を改善した選手たち。急な起用にも決定的な仕事で応えた瀬尾や、攻守にチームを引っ張った福本など、今年の阪南大高の強さが垣間見れた試合となった。 「この子たちの一年の糧になる大会なので、あの時もあの負けで(2021年大会の3回戦で神村学園と打ち合い3-4で敗戦)チームが変わった。そういう経験をさせてあげられるのが良さだと思うので、今日は素直に喜ぼうと思います」 普段は滅多に喜びを表現しない指揮官にも、やはり全国の舞台は特別か。プリンス関西でも首位を走るチームがさらに成長できる舞台。そこに立てる経験は何事にも代えられない。 決勝に進出した阪南大高は大阪一の座をかけ9日に興國と激突。そしてその先には3大会ぶり6回目の全国大会が待っている。 (文・写真=会田健司)