楳図かずおさん死去 昨年まで「病気ゼロ」 語っていた独自の「食事法」 20代に不眠症発症で健康に留意
「漂流教室」「まことちゃん」などで独自の作風を築いた漫画、芸術界の巨匠・楳図かずお(本名・楳図一雄=うめず・かずお)さんが10月28日、死去した。88歳。楳図さんは昨年、スポニチ本紙の取材に応じ、健康維持のための独自の食事法を語っていた。 【写真あり】赤白ボーダーの外壁が騒動になった楳図かずおさん宅 楳図さんは1936年9月生まれ、和歌山県出身。1955年に貸本漫画家として活動を始め、「週刊少年サンデー」などに作品を発表。55年に「森の兄妹」でプロ漫画家デビューを果たした。代表作は「漂流教室」「まことちゃん」など。ホラー、SF、ギャグと幅広い分野で漫画文化へ貢献した。 今年10月2日に新作の制作を発表したばかりで、元気な姿をメディアの前に見せていた楳図さん。昨年7月にはスポニチ本誌の連載「だから元気!」に登場し、健康を維持する独自の“食事観”を語った。 取材の中で楳図さんは「食べることが生きがい」と笑顔で語り「生きるために食べるのか、食べるために生きてるのか、両方ですね」としみじみ。「分流の考え方としては、食事というのは食べられたものの復讐(ふくしゅう)だと思ってるんです。これは怖い話だけど、魚も豚も大根だって食べられるのは嫌なはず。それを食べるんだからどこかで復讐されると思ってます」と、芸術家ならではの独特の感性で、食事を分析していた。 その観点から「復讐を避けるため、食べるものは1回食べたら、同じものは1週間たつまで食べない」という。「1週間たてば(復讐心は)もう消えるだろうと思うんですよ。連日で口にする場合は指先ほどの少ない量にする作戦にしたり(笑い)。このルールで、病気は一度もなったことはないので、効き目はあるっていうことなんです(笑い)」と自信をのぞかせていた。 食事を気にするようになったきっかけは、20代の頃の「不眠症」。楳図さんは「23~27歳の間、不眠症で2時間くらいしか寝られなくなってしまった」時期があったといい、「当時、診察してくれた先生が食べ物の農薬のことを気にしていたから、食べるものへの注意はその頃から始まりました」と振り替えっていた。 「食べられるものからの復讐」という独特の食事観は作品にも影響を与えていた。「動物を殺して食べることに対して罪の意識が絶対あるから人工的な栽培肉食べようっていう日がくると思ってた」という考えから、SF漫画「14歳」に登場するチキン製造会社の工場で培養肉となるササミ細胞から生まれるチキン・ジョージが誕生したという。「食べ物からアイデアが浮かぶことが結構あるんです。だから食事は凄い大事」と笑顔を見せていた。