森保Jで2024年に「最も株を上げた」2選手 代表OBが飛躍期待「ビッグクラブ移籍ある」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】「攻撃陣では中村敬斗、守備陣では町田浩樹」に注目
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング15位)は11月19日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第6戦で中国代表(同92位)と対戦し3-1の勝利。2024年の代表活動を終えたなか、「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は「今年最も株を上げた」2選手の名前を挙げつつ「今冬や来夏に欧州ビッグクラブ移籍もある」とステップアップに期待を込めた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部) 【動画】中国にとっては「一定の効果?」 約3mも狭くなった実際のピッチ映像 ◇ ◇ ◇ 2024年1月から2月にかけて開催されたアジアカップで、日本は惜しくも準々決勝でイランに1-2で敗れて、ベスト8で敗退した。しかし、その後のW杯アジア2次予選で3連勝を飾ると、最終予選ではアウェーの中国戦を終えて、6試合で5勝1分けの無敗という好成績を残して1年の活動を終えた。 この1年間を振り返った金田氏は「日本サッカーのレベルが確実に上がった1年。ビッグクラブや名門を含めた海外クラブで、日本人選手が当たり前のようにレギュラーとして出場して活躍し、その経験を日本代表に還元する好循環が定着し、日本代表における選手たちの意識とプレー水準の両方が年々引き上げられている」と言及した。 さらに、最も飛躍を遂げた選手として2人の名前を挙げた。「中国戦では小川航基が2ゴールと圧倒的なインパクトを残したが、今年、最も株を上げたという意味で言うと、攻撃陣では中村敬斗、守備陣では町田浩樹を挙げたい」と名指しした。 「中国戦では持ち味を十分に発揮できなかった中村だが、能力は極めて高い。サイドでボールを持てば、ドリブル、クロス、シュートいずれの精度も高く、サイドチェンジなどの長距離パスも正確。シュートのセンスと精度も抜群で、ここぞの決定力も高い。総合的なレベル高く、三笘薫とは違うタイプながら全く引けを取らない。今やスタメンにどちらが名を連ねても誰も驚かないだろう。それだけ中村が実力を示し続けてきたことを意味する」 「3バックを固定できたのは町田の成長も大きな要因だろう。ヘディングや対人プレーに強く、プレーの安定感も確実に増した。足もとの技術も高く、ビルドアップ時に起点となるパスも通せるのは大きい。それにバランスを見ながらドリブルで持ち運べる技術と判断力も兼ね備えており、臨機応変なプレーが求められる3バックの一角として最適な人材に成長を遂げた。冨安健洋、伊藤洋輝、谷口彰悟らが怪我で不在だが、今や町田が確実に計算できる戦力になり、最終ラインの不安を感じさせない」 攻守で頭角を現した2選手について高く評価する金田氏。24歳の中村はフランス1部スタッド・ランス、27歳の町田はベルギー1部ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズに所属しており「まだW杯出場が決まったわけではないが、本大会(2026年6月開幕)を見据えると今から約1年半ある。2人はここからさらに成長するだろうし、今冬や来夏に欧州ビッグクラブへの移籍もあるだろう。それぐらい日本代表の中で最も飛躍を遂げ、大化けした2人と言っていい」と、ステップアップに大きな期待を寄せていた。 [プロフィール] 金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。
FOOTBALL ZONE編集部